不可欠と思いきや…スーパーや回転ずし店のすしに「ワサビ」が入っていない理由は?

2022.02.15

  • 著者 : オトナンサー編集部
  • アドバイザー : 長田絢(おさだ・あや)

スーパーや回転ずし店のすしにワサビが入っていないことが多いのはなぜなのでしょうか。料理研究家に聞きました。

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なぜワサビが入っていない?

 すしは日本人の好物の一つとして、高級店からスーパーまであらゆる店で提供されます。すしといえば、ワサビが不可欠と思いがちですが、すし店では、職人がネタとシャリの間にワサビを入れて提供する一方、スーパーや回転ずし店のすしには、ワサビが入っていないことが多く、自分でワサビを付ける必要があります。そもそも、すしにワサビを入れるのはなぜなのでしょうか。また、スーパーや回転ずし店で売られるすしにワサビが入っていないのは、なぜなのでしょうか。料理研究家の長田絢さんに聞きました。

ワサビの風味が落ちる

Q.そもそも、すしにワサビを入れる理由について、教えてください。魚介類とワサビは相性がよいのでしょうか。

長田さん「ワサビの爽やかな風味と辛味の刺激は、魚介類との相性がとてもよいです。素材のうま味を引き出すとともに生臭さを消すことで、おいしく食べられます。また、ワサビに含まれる『アリルイソチオシアネート』という辛味成分は、抗菌作用があるので、生の魚介類に含まれる食中毒などの原因となる菌を殺してくれます。

そもそも、ワサビは飛鳥時代から薬草として使われていたそうです。また、握りずしは、江戸時代後期にはやり始めましたが、その頃にはワサビを付けて食べるのが主流になっていました。今のように衛生環境が整っていない時代からの知恵の一つで、体に優しい殺菌方法でもあります」

Q.ワサビには食中毒を予防する効果が期待できるということですが、一方でスーパーや回転ずし店で売られるすしには、ワサビが入っていないことが多いです。なぜなのでしょうか。

長田さん「(1)子どもやワサビが苦手な人でも食べられるようにするため(2)個包装のワサビの質が向上したから(3)食べる直前に付けた方がおいしいから―の3つの理由が考えられます。

以前は、さび入りのすしとさび抜きのすしの両方が売られることも多かったのですが、最近では、さび抜きのすしを個包装のワサビ付きで売るのが主流になりました。これは、製造技術の発達によって、うま味や風味を閉じ込めたおいしい個包装のワサビが増えていることが要因だと思います。

また、スーパーや回転ずし店のすしは、長時間売り場に置かれることを想定して作られており、ワサビ入りのすしを好む人にとっても、直前にワサビを付けた方がおいしく食べられるのではないでしょうか。ワサビを入れた状態で長時間売り場に置いておくと、ワサビの鮮度が失われ、すしの味に影響を与える可能性も考えられます」

Q.では、すしに限らず、食べ物にワサビを付けて長時間放置すると、味が落ちるということでしょうか。

長田さん「ワサビは、もともと水分の多い環境で育つ植物なので、常温や乾燥した場所では鮮度が落ちやすいです。さらに、ワサビの辛味は揮発性で、時間がたつと抜けてしまいます。

そもそも、ワサビの辛味成分のアリルイソチオシアネートは、カラシナやダイコンなど、他のアブラナ科植物にも含まれています。この辛味成分は、すりおろすなど細胞を破壊することで、酵素反応が生じて辛くなります。すりおろした状態で空気にさらすと、香りも風味も飛んでしまい、ワサビのよさが失われてしまいます。

なお、おろしたての本ワサビや個包装パック入りのワサビ、チューブ入りのワサビ、粉ワサビなど、種類によって香りや風味、味わいは異なります」

Q.さび抜きのすしにワサビを付けて食べるときのコツについて、教えてください。

長田さん「ネタの上にワサビを載せた後、しょうゆをネタの先端部分に付けて一口で食べるとよいかもしれません。ただし、ネタの上にワサビを載せると、ツーンとした辛味を感じやすくなることがあるので、それが苦手な人は、あらかじめワサビをしょうゆに溶いておくとよいでしょう」

Q.ワサビ以外で、すしに合う薬味があれば、その働きや相性とともに教えてください。

長田さん「ショウガやからし、ゆずこしょう、レホール(西洋ワサビ)のほか、果汁を絞ったり、皮をすりおろしたりした状態のユズやスダチなども、ネタによってはすしととても相性がよいでしょう。ショウガやからしにはワサビと同様に抗菌作用や消臭効果がありますし、かんきつ類は爽やかさを楽しめます。正式な決まりはありませんので、お好みの薬味を合わせて、すしを楽しんでください」

(オトナンサー編集部)

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