実は「全国最安」 ギョーザブーム 鹿児島にも お肉たっぷり、栄養豊富 専門店 続々と

2022/03/21

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焼き上げたギョーザを持ち帰り用に手早く詰める店員=鹿児島市武1丁目

 鹿児島市のJR鹿児島中央駅周辺に、ここ数カ月で新たなギョーザ専門店が次々と開店している。自動販売機や無人販売所など、新しい販売形態に乗り出す製造会社も。専門店や製造会社で作る協議会も、立ち上げに向けて動いている。鹿児島にギョーザブームが到来しているようだ。
 新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」解除後、夜も人影まばらな都通りの一角に列ができていた。ガラス張りでまぶしく光るギョーザ専門店「餃子のあかり」(武1丁目)に通行人が吸い寄せられている。持ち帰りを求める列の間を縫い店に入ると、パリッと焼けた皮の香りが食欲をそそる。
 居酒屋3店舗を経営する「FOR S.」(西田1丁目)が、コロナ下で低迷する売り上げを補おうと、今年1月に立ち上げた。ランチから開店し、夜も部活帰りの高校生や家族連れでにぎわう。大山宏記社長(43)は「居酒屋ではまず見られない光景」と顔をほころばせる。
 17日、県内の専門店や製造会社など鹿児島ギョーザを愛する11社が、「鹿児島ぎょうざ協議会」の立ち上げ準備のために集まった。会議後に同店であった懇親会は、焼きたてを頬張りながら鹿児島のギョーザを日本一にするため何ができるか話し合った。今後、会の目的や方針を固めて協議会を発足させ、メンバーを募る予定だ。
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 総務省が2月に発表した2021年家計調査によると、県庁所在市と政令指定都市の「ギョーザの世帯当たり支出金額(二人以上世帯)」は、隣県の宮崎市が4184円で全国1位。鹿児島市は2546円で8位だった。
 レモンやキムチなど独自の味が特徴の持ち帰り専門店「まる千餃子」(上荒田町、中央町)のおかみ宇留島千絵さん(44)は「鹿児島は単価が安いせいでは」と分析する。店は14年に開業し、巣ごもり需要で通販も含め全国に新規客が増えた。「安い」と驚かれ、一度に100個、200個と買い求める客が多いという。
 同省小売物価統計調査(22年1月次)によると、焼きギョーザ1皿(外食)の平均価格は、鹿児島市が234円で最も安い。一方、宮崎市は415円で8番目に高い。冷凍ギョーザは鹿児島市が100グラム69円と全国で最も安かった。
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 21年家計調査で、単身世帯を含む「総世帯」で見ると、宮崎市の世帯当たり支出金額は2329円で、宇都宮、浜松、京都を下回り4位に下がる。一方で鹿児島市は、2177円で5位と順位を上げる。鹿児島市民は宮崎市民と比べ、1人でもギョーザを食べる傾向があることが分かる。
 「栄養豊富な完全食で、種類も多くて安い。単身の人には便利なのでは」と推測するのは「ビッグファイブ」(東開町)の川原健司取締役(40)。同社は1991年に創業し、90種類以上を製造販売している。中でも主力商品となっているのが、冷凍生ギョーザの1パック12個入り。フライパンに丸く並べられ、1人暮らしにちょうどいいボリュームだ。
 飲食店やスーパーへの卸をメインとしており、コロナ下も業績は好調という。20年12月にセルフで焼いて食べる新店舗を開業。21年1月に無人販売所、11月には本社前に自動販売機を設置するなど、新たな業態を展開している。川原取締役は「鹿児島にギョーザブームの波は着実に来ている」と実感を語った。
■焼き餃子協会 ファンが〝支部〟設立
 一般のギョーザファンも今年2月、「焼き餃子協会鹿児島支部」を発足させた。支部長に就任した埼玉県の会社員カタオカマナミさん(37)は「黒豚が使われていることが多く、野菜より肉の割合が多い」と鹿児島ギョーザの特徴を語る。
 支部は「あくまで消費者目線の集まり」。焼き方講座や毎月違う店の商品が届くサブスクリプション、ファンの交流や食べ比べのイベントなどを計画している。
 カタオカさんは2014年、屋久島観光のついでに立ち寄った鹿児島市のラーメン・ギョーザ専門店で鹿児島ギョーザの魅力に取りつかれ、移住を考えるようになった。現在は会社員の傍ら、農園体験スタッフなどの企画に携わる。
 当面はお気に入りのゲストハウスで二拠点生活をしながら、鹿児島の家を探すつもりだ。鹿児島ではアウトドアガイドとして働く予定。「鹿児島ギョーザの良さを広め、鹿児島の人自身が『鹿児島はギョーザもおいしいよね』と自負できるようにしたい」と語った。

店休日に常連の利用が多いという自動販売機=鹿児島市東開町

 店休日に常連の利用が多いという自動販売機=鹿児島市東開町

焼き餃子協会鹿児島支部長に就任したカタオカマナミさん

 焼き餃子協会鹿児島支部長に就任したカタオカマナミさん

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