江戸時代から続く老舗の危機に、立ち向かったのは都会育ちの孫娘…クラファン、SNS、商品開発 熱意の源は「祖父の黒酢を守る」決意

新潟県の米農家から取り寄せたコシヒカリを使った黒酢造りに取り組む富澤英里子さん=霧島市福山町福山

 新潟県の米農家から取り寄せたコシヒカリを使った黒酢造りに取り組む富澤英里子さん=霧島市福山町福山

「自慢の黒酢製品を全国に届けたい」と意気込む富澤英里子さん=霧島市福山町福山

 「自慢の黒酢製品を全国に届けたい」と意気込む富澤英里子さん=霧島市福山町福山

 霧島市福山町福山の江戸時代から続く老舗黒酢メーカー「伊達醸造」を存続させようと、26歳の女性が奮闘している。会社を継ぐために横浜市から移住した富澤英里子さん。ネットを通じて資金を調達するクラウドファンディング(CF)や新商品の開発、SNSを活用した企業PRなどに取り組み、柔軟な発想で経営の立て直しに挑戦中だ。
 伊達醸造は1820年創業で、富澤さんの母の実家が営む。富澤さんにとっては小学生の頃、横浜から遊びに行った時に祖父・伊達孝美さん=享年71歳=が働く懐かしい場所だった。「黒酢やしょうゆの話を楽しそうに話す祖父が好きだった」と振り返る。
 孝美さん亡き後は、叔父の伊達英史さん(55)が後を継いだが、このところ業績不振。従業員の高齢化や人手不足もあり、会社をたたむ予定だったという。
 母から窮状を聞いた富澤さんは決断する。「会社がなくなれば、祖父との思い出がなくなってしまう気がした」。2023年3月、跡継ぎになると申し出た。都内の会社を辞め、7月には単身で移り住み、後継者としての歩みを始めた。
 最初に取りかかったのは、資金調達に向けたCF。寄付者への返礼品には、壺(つぼ)オーナーになれる権利や黒酢の仕込み体験会を用意。一風変わったアイデアと熱意が反響を呼び、目標額を超える122万円余りが集まった。「伊達醸造のことを知ってもらう良いきっかけになった」と話す。
 その後も新潟県の米農家と組んで南魚沼産コシヒカリを黒酢の原料に使った新商品開発にも乗り出した。SNS上で自社製品を使ったレシピを公開したり、さまざまなメディアに出演したりして、広告塔としての活動にも力を入れる。
 今後6代目を継ぐ予定で「祖父から受け継がれたものを大切にしつつ、自分なりに新しいことを進めて、自慢の黒酢を広めていきたい」と意気込んでいる。

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