私の人生を変えた島【西表島】 人の暮らしより大自然が優勢な場所で “色に溢れた海”に潜る

西表島(沖縄県)

ダイビングポイント「網取」近く。海が輝いています。

「西表島」と書いて、「いりおもてじま」と読みます。それすら知らなかった大学生時代、この島を訪れて、先の人生が変わるなんて思ってもみませんでした。

 西表島は東京から南西に2000キロほど、八重山諸島のひとつで、面積は約289.3平方キロメートル。沖縄本島に次いで大きく、日本全体からすると12番目のサイズになります。人口は2,426人。人の暮らしよりも大自然の方が優勢な島です。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部とともに世界自然遺産に登録されている西表島。

 西表島には特別天然記念物のイリオモテヤマネコやカンムリワシに代表される固有種をはじめ、4,857種もの生物が生息しています。ちなみにヤマネコが生息する島としては世界最小なのだとか。

うなりざき公園展望台から藪を抜けてアプローチする隠れ家ビーチ「ぜんべえの浜」イリオモテヤマネコ発見! 本物は見たことがないけれど。

 島の約9割が亜熱帯性の原生林、海のそばまで山裾が迫っています。サンゴ礁広がる海や、国内最大かつ日本のマングローブ7種がすべて分布するマングローブ林の汽水域、ジャングル覆う山岳地帯など、多様な自然環境が揃っています。

星砂が拾える、星砂の浜。

 自然環境のバリエーションが豊富なことに加え、太古の海進期にも水面下に完全には沈んでしまわずに生態系が守られたことも、西表島の豊かな生物多様性の裏付けとなっています。

三日月形の月が浜。トゥドゥマリの浜とも呼ばれています。

 西表島には飛行場がありません。周囲約130キロと、かなり大きな島なので、西部と東部に2つの港があります。石垣島の離島ターミナルから高速船で、西部の上原港まで40~60分、東の大原港まで約35~40分。

 今回は、西部の上原港から上陸です。

 はじめて西表島に訪れた時は船浦港でした。大学のスクーバダイビング部の合宿で、一年の総仕上げとして西表島を訪れるのが恒例行事だったのです。その時、水平線と雲の底の距離が近くて、パイナップル畑の上の空の広さに圧倒されたのを覚えています。

海ってなんて、楽しいの!

 今回も当時も、お世話になったのは「ダイビングチーム うなりざき西表」、そして迎えてくれたのは、ダイビングインストラクターで今は社長の大島佐喜子さん。日焼けした肌と潮焼けした金髪、くしゃりとした笑顔は、今も昔も変わらず、です。

40年近くダイバーをサポートし続けているダイビングチーム うなりざき西表。海を一望にする「イルマーレウナリザキ」。

 最初に西表島を訪れた時は、素潜りの練習はハードだし、耳抜きもできないし、沖縄合宿を最後にダイビング部をやめよう、と考えていた頃。それが1ダイブで180度、方向転換。海ってなんて、楽しいの! 海を仕事にしたいなぁ、と。

ジャイアントストライドで海へ! 

 西表島の海は色に溢れていました。崖を覆うサンゴに赤やオレンジ、黄色やブルーのカラフルなリーフフィッシュたちが花吹雪のように群れているのです。太陽光がたっぷり降り注ぐ浅瀬にも、一面のサンゴ。平和な光景が広がっていました。

サンゴに群れるリーフリッシュたち。色が氾濫しているような西表島の海 ©大島佐喜子サンゴがみごとなカメカメポイント。カメカメポイントにいたトウアカクマノミ。日本で見られる6種のクマノミのうち、会えたら嬉しい種かも!?

 今回も崎山湾の「カメカメポイント」ではリュウキュウキッカサンゴやエダサンゴ、テーブルサンゴなど各種サンゴが花ざかり。「みだら浜」ではいろんなハゼのオンパレード。ちなみに図鑑の『新版 日本のハゼ』では収録されている534種のうち約95%が西表で撮影されたものだとか(淡水含む)。

ダイビング中はホワイトボードで情報を教えてくれます。

 ダイビングインストラクターの大島さんのガイディングの、情報量の多さに感心。海の魅力を聞くと、バリエーションが多いことだと言います。

 サンゴが多く、砂泥域ではマクロ(小さな生物)系の観察、ドロップオフなどの地形の面白さ、大物がやってくる上級者オンリーの「オガン」など、見どころが多彩。しかも、どれも極上なのです。

大型ダイビング船を日本で初めて導入したダイビングチームうなりざき。

西表島に来たら夜空の84星座を確かめよう

ダイビングの合間に見た、名もないビーチ。こんなキレイなビーチが島のあちこちに。

 大島さんは、埼玉県出身。当時のダイビング業界は女性が働くことが困難だったそう。その環境を整えてくれた現在のオーナーを尊敬し、ダイビングの仕事ができることに喜び一心、自分を受け入れてくれた島に感謝しつつ、うなりざき一筋36年。

たよりになる大島佐喜子さん、通称“しまちゃん”。お客さんのことを何よりも大事に考える方です。

 大島さんと話をしていると、島の環境について興味深いこと、たくさん聞けます。西表島では生ごみや漂着ごみが捨てられないとは!? ごみ問題は、またどこかの機会に。

オーナーがバリ島で訪れた宿を気に入り、「こんな感じの宿を……」と誕生した「ヴィラ うなりざき」。月が浜や宝島を望む絶景のお宿です。全室バスタブ付き。

 実は、私も学生時代「民宿うなりざき」でひと夏、ヘルパーをしていたことがあります。その頃、目がくりくりとした少年は、今は「ヴィラうなりざき」の社長に。ちなみに、「ヴィラうなりざき」では夕食のガーデンバーベキューに“西表パイン牛”が並びます。市場に出回らず、ごく一部でしか食せない超希少な牛肉です。

西表島には子午線が縦断しており、2カ所のモニュメントがあります。「イルマーレうなりざき」のテラスからみた星空。カーテンを開いただけで、まるでプラネタリウム。

 西表島は石垣島からの日帰り客が多いのだとか。なんと、もったいない。夜には満天の星が! 21個の一等星がすべて見えて、88星座のうち84星座も見えるのです。子午線が通る島で、星空観察してみてはいかがでしょう?

西表島

●アクセス 石垣空港から石垣港離島ターミナルへ車で約25~40分。西表島の上原港へは高速船で約40分
●おすすめステイ先 ヴィラうなりざき
https://www.unarizaki.com/villa/

【取材協力】
ダイビングチームうなりざき西表
https://www.unarizaki.com/iriomote/

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

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