色合いやうまみに優れた「せいめい」=農研機構提供
鹿児島県の茶の輸出額が右肩上がりだ。日本食ブームや健康志向を背景に米国向け抹茶を中心に増加し、2022年度は13億3600万円と4年で4倍になった。
同県が県内輸出業者などを調査し、数字をまとめた。輸出額は17年度まで2億円台だったが、18年度3億4000万円、19年度4億6000万円、20年度7億6000万円、21年度11億4000万円と順調だ。新型コロナウイルス禍が起きた20年、同県のお茶の産出額は前年比で20%以上落ち込んだが、輸出は総じてコロナ禍の影響を受けていないことがうかがえる。
国などの調査によると、抹茶の原料となるてん茶の鹿児島県の生産量は全国(3809トン=22年)の3分の1以上の1392トンで全国トップ。海外展開の行方を左右する農薬規制の条件をクリアできる有機JAS認証についても、認証取得茶園の面積(21年)は同県が全国の47%を占めており2位の静岡県の16%を大きく引き離す。
鹿児島県は、輸出促進に向け、色合いやうまみに優れ、抹茶に適した品種「せいめい」の普及を図る。せいめいは、農研機構果樹茶業研究部門(同県枕崎市)で交配・選抜され20年に品種登録。22年現在で同県の茶園面積8250ヘクタール中50ヘクタールに過ぎず、伸びる余地は大きい。
県農産園芸課の木村規代・特産作物対策監は「てん茶などの品質向上への取り組みや商談会などへの出展を支援し、更なる輸出拡大を図りたい」と話している。【梅山崇】
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