「ブランドに傷が付く」 カツオ横流し事件、かつお節の産地鹿児島に飛び火し生産者嘆き

2022/05/10 08:00

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 静岡県焼津市の冷凍カツオ窃盗事件が鹿児島に飛び火し、指宿市の元業者が逮捕された9日、全国一のかつお節生産量を誇る県内の産地に衝撃が走った。生産者からは「ブランドに傷が付くのでは」など懸念の声が上がった。
 指宿市のかつお節メーカー社長(58)は逮捕された男(65)の卸売会社から昨年1~3月に4回、冷凍カツオを購入したといい、「まさか盗品とは」と怒りをあらわにした。別の水産会社社長(54)は「検量の仕方などのルールを確立するきっかけにしなければ」と流通実態の解明を望んだ。
 地元の山川水産加工業協同組合の坂井弘明組合長は「事件について全く分からない。本当に腹立たしい」。男が数年前まで販売部門の責任者を務めた山川町漁協は「情報が入っておらず、対応できない。今回の事件と組合は関係ない」とした。
 同漁協によると、指宿市内の加工業者が焼津からカツオを仕入れるのは珍しくなく、小口の注文では漁協が間に入って取引した。
 同市の関係者は「容疑者は漁協を定年退職後に会社を作り、焼津から運んだカツオを販売していた」と指摘。「安く買えると案内があったが、産地証明書が出せないので広まらなかった」と明かした。
 枕崎水産加工業協同組合の西村協組合長(68)は「安全安心な商品作りに努めている業界にマイナスで残念。大半の加工業者は出元のしっかりした材料しか使わず、通常はあり得ない」と話した。

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