お取り寄せグルメとクラシック音楽のおいしい関係【第1回:田苑酒造 エンヴェレシーダ】

4月 28, 202クラシック音楽を聴かせて造ったら、芋焼酎もまろやかでフルーティになる!?

植物にモーツァルトを聴かせると、よく育つ。

そんな話、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。乳牛にバッハを聴かせたら、ミルクの出がよくなったなんて話も有名ですよね。しかし、実は植物や乳牛以外にも、味噌やお酒、かつお節など、クラシック音楽を聴かせて育てられた食材ってたくさん存在しているんです。

気になるのは、クラシック音楽を聴かせたことでどのように味が変わるのか。本当なら日本各地を飛び回ってひとつひとつの味わいを確かめたいところですが、さすがにまだ思い切り遠出するのは気が引ける……。

そこで、本連載ではクラシック音楽を聴かせて育てられた“クラシックグルメ”を実際に取り寄せ、紹介していきます。

今回紹介するのは、 “音楽仕込み”という製法を用いて作られた樽貯蔵芋焼酎、「田苑 エンヴェレシーダ」。クラシックと焼酎造りの関係性について、田苑酒造株式会社の杜氏・松下英俊さん、加藤善昭さんにお話を伺ってきました。


樽貯蔵芋焼酎・ENVELHECIDA(エンヴェレシーダ)って?

――エンヴェレシーダの特徴について、教えてください。

松下英俊さん(以下、松下): エンヴェレシーダは芋焼酎ですが、芋焼酎らしくないまろやかさとフルーティな味わいが特徴のお酒となっています。

芋焼酎本来の風味に加え、オーク樽による貯蔵・クラシック音楽を聴かせる“音楽仕込み”という製法が合わさることで、これまでの芋焼酎にない味わいが実現しました。麹の作り方や、発酵に関わる酵母、それらと原料との相性を考えつつ、長い間試行錯誤を重ねてきたお酒です。

加藤善昭さん(以下、加藤):一番キャッチーな言葉でいうと、「え?これ芋焼酎なの?」といったような味わいです(笑)。

芋焼酎って樽貯蔵とのバランスが難しいとされていて、日本でも一般的なお酒として樽貯蔵の芋焼酎というのは世の中に出ていませんでした。しかし、諦めずにチャレンジする中で、芋焼酎と樽貯蔵それぞれの個性を調和させることに成功したお酒が、エンヴェレシーダだと自負しています。

非常に口当たりもいいですし、後味もいいんです。別にオレンジは使っていませんが、柑橘系の香りがするところもポイントです。

―ークラシック音楽による“音楽仕込み”はいつ頃から始めるようになったのでしょうか。

松下:1990年から始まったので今年で32年になりますが、音楽仕込みが正式に始まる前から、蔵にオーディオを持ち込んでクラシック音楽がかけられていたそうです。

田苑酒造のさきがけとなる塚田醸造場4代目・塚田定清は学生時代に吹奏楽部に所属していました。そのときはピアノを担当していたみたいですが、元々趣味としても音楽が好きだったそうですよ。

加藤:当時、工場では機械音がうるさく、作業環境は快適とは言えなかったようです。従業員の作業環境を少しでも改善する目的もあり、塚田定清がラジカセを持ってきてクラシック音楽を流すようになりました。

そうして仕事中に音楽をかける中で、ラジカセに一番近いタンクの発酵が早くなったことに気づき、その発見が後の音楽仕込みへと繋がりました。

「音楽仕込み」でまろやかな味わいに

加藤:「音楽仕込み」と言うと、蔵にクラシック音楽が流れているだけと思われる方も多いのですが、実はそうではありません。音楽の信号を振動に変換する「トランスデューサー」という機器をタンクに設置し、それによって得られる音楽の刺激から発酵や熟成の効果を高めている仕組みなんです。

発酵においては、音楽の刺激によってアルコールを生成する酵母菌の増殖と、活性能力を促進。熟成においては、アルコール分子と水分子のそれぞれの分子集団が小さくなり、アルコール分子を水分子が包み込んだ状態になることで、アルコールのツンとした刺激を抑えてくれるようになります。それによって、一般的な芋焼酎よりもまろやかな味わいに仕上がるというわけです。

松下:具体的には、焼酎になる前の最初の段階である発酵と、製品として最終仕上げにあたる熟成の2段階で音楽仕込みを行っています。芋焼酎と麦焼酎では聴かせるタイミングも長さも違うため、ずっとクラシック音楽を流し続けているわけではなく、お酒の種類にあった最適な長さやタイミングを見計らって音楽を使うようにしています。

――音楽仕込みによって、味にどのくらいの違いが生まれるのでしょうか。

松下:味覚を数値化するのは難しいところもありますが……。蔵に来ていただいたお客様に音楽を聴かせたものと、そうでないものを飲み比べてもらうと、明らかに味が違うと感じていただけることが多いです。もちろん好みもありますが、多くのお客様は音楽を聴かせた方がまろやかな味わいがあると答えられますよ。

――ホームページを拝見すると、モーツァルトの「交響曲第40番」や、ベートーベンの「田園」など、蔵で流れている曲目が記載してありました。これはどなたが選曲されたものでしょうか。

加藤:トランスデューサーを提供してくれたメーカーに選曲してもらっています。オーケストラの曲は音域が広く、楽器や音色が多彩であるため、音楽を振動に変換した際に焼酎に大きな影響を与えてくれるんです。オーケストラのクラシック音楽が中心に30以上の曲目が選曲されている背景には、そのような理由があります。

ただ、今後の取組として、クラシック以外の楽曲を使ってお酒造りを進めてみようかな〜とも検討しているので、楽しみにしていてください。

クラシック音楽をかけ続けたら、人も丸くなった!?

――きっと田苑酒造さんで働かれる方の中には、クラシックにあまり興味がない方もいるのではないかと思います。しかし、仕事中は必ずクラシック音楽を耳にする環境の中で、今までよりも興味が湧いてくることはありましたか。

加藤:工場長はクラシックがすごく好きになって、よく聴くようになったと言っていました。それに、お酒と一緒で、うちの従業員はみんな性格が丸くなったような気がしています(笑)。クラシック音楽は、人の心にも大きな影響を及ぼしてくれるということですね。

松下:私は正直田苑酒造に入るまでクラシックは全然知らなかったですし、興味もありませんでした。でも、今はもうクラシック音楽のある生活が体に染み込んでるような気もします。

実際、まだ誰にも言ってないですけど、プライベートでクラシックのCDを買ったりしていて……。まだ曲と名前が一致しませんし、ただ聴いてるだけですけど!(笑)

加藤:確かにこれまで興味なかったけど、今は聴いてる人は多いんじゃないですかね。田舎なので、歩いたり電車で来ることができませんし、車の中でクラシック音楽を聴いてる人は多いと思いますよ。

飲み方は自由! ロックでもソーダ割りでも◎

芋焼酎と樽貯蔵の難しさや、音楽仕込みが始まったきっかけ。さらには田苑酒造さんがクラシック音楽をかけ続ける中で、従業員の皆さんがクラシックに興味を持ち始めたお話まで。

松下さん、加藤さんに伺ったお話を思い出しながら、エンヴェレシーダを飲んでみました。

まずはロックでいただいたところ、思わず出たのは「え?これ本当に芋焼酎?」というひとこと。まさしく、加藤さんの言っていた通りになってしまいました。アルコールがツンとくる感じも少なく、その口当たりはまろやかです。

ただ、ひとくち飲んだだけでは柑橘の風味に気づくことができなかったので、ふたくち、みくちと飲んでみる。すると、ほのかに鼻に抜けてくる爽やかな風味に気づきます。

あれ、これって本当に焼酎なんだっけ……?

何より、見た目からも芋焼酎だとは全く想像つきません。テーブルに置いておくだけで気分が上がるデザインに、心が踊ります。

ロックでしっぽり飲むのもいいけど、炭酸で割ることでより柑橘系の香りがより開いてくるようにも感じられました。まだ試していませんが、寒い日の夜はお湯割りにして楽しむのもいいかもしれません。

エンヴェレシーダとクラシックのおすすめペアリング

音楽仕込みで作られたお酒を飲むのなら、どんな曲で仕込まれたのか知っておいても損はないハズ。実際に音楽仕込みで使われていた曲をいくつかピックアップしてみたので、ひとつずつ簡単にご紹介します。ぜひエンヴェレシーダを飲みながら、それぞれの曲をゆっくり味わってみてくださいね。ただ音楽を聴くだけでは感じられなかった風味を、きっと感じられますよ。

J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BMV1050:第1楽章

ヨハン・セバスティアン・バッハが作曲した協奏曲です。第1楽章の主な聴き所は曲の後半に出てくる、チェンバロのカデンツァ! カデンツァとは、協奏曲の終曲部分で演奏されるアドリブ風のソロのことを指し、どの協奏曲においても非常に高度なテクニックを要することがほとんどです。ピアノの前身とも呼べる鍵盤楽器・チェンバロによる怒涛の超絶技巧、あまりの凄さに酔いが醒めちゃうかも……!? どうぞお楽しみに。

J.S. Bach: Brandenburg Concerto No. 5 in D Major, BWV 1050 – 1. Allegro (I)

モーツァルト:交響曲 第40番 K.550:第1楽章

モーツァルトが作曲した交響曲のうち、短調の曲はこの作品を含めてわずか2曲しかありません。ヴァイオリンのオクターヴによる冒頭の旋律、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。1度耳にしたらずっと離れない、情緒的で翳(かげ)りのある旋律。部屋を少しだけ暗くして、あとはモーツァルトの音楽に身を任せましょう。

ベートーヴェン:交響曲 第6番 へ長調《田園》:第1楽章

ベートーヴェンの交響曲は全部で9つ存在し、《田園》は1807年から1808年にかけて作曲された6番目の交響曲です。第5番の《運命》のようにジャジャジャジャ〜ン!と強烈に始まる曲と比べると、非常に穏やかで明るい始まり方が特徴的。田舎に到着したときの晴れやかな気分を思い浮かべながら聴いてみてください。

Beethoven: Symphony No. 6 in F Major, Op. 68 – “Pastoral” – I. Erwachen heiterer Empfindungen…

“音楽仕込み焼酎”が当たる!

今回紹介した「エンヴェレシーダ」と併せて、同じく音楽仕込みによって作られた「田苑 OTOYOI 5本飲み比べセット」のプレゼントキャンペーンを実施中です。OTOYOIは5本それぞれ聴かせている曲が異なり、りんご、なし、メロン、バナナ、マスカット……と、フルーティな香りや味わいに仕上がっているのだとか。曲によってどんな違いがあるのか、飲み比べて、聴き比べてみるのも楽しそう!

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<キャンペーン詳細>
田苑酒造さまより「田苑 エンヴェレシーダ」、「田苑 OTOYOI 5本飲み比べセット」のどちらか1種類を抽選で14名様にプレゼント!応募方法は以下の2つからお選びいただけます。奮ってご応募くださいませ。

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応募フォームからの応募

※応募締め切り:2022年5月22日(日)23:59まで

田苑酒造 公式通販サイトではエンヴェレシーダやOTOYOIをはじめとしたさまざまな焼酎が販売されています。お酒に合わせたおつまみレシピも載っているので、これはおうち飲みが捗りそうな予感……!
ゴールデンウィークは家でゆっくり過ごそうかな〜と考えている方は、ぜひ音楽仕込みで育てられた焼酎とクラシック音楽をお供に、酔い(よい)休日を味わってみてくださいね。

商品提供:田苑酒造株式会社

Interviwed, Written & Photographed By 門岡明弥

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