日本一?鹿児島の渋滞事情

[03/08 19:56]

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朝の通勤や通学で渋滞に巻き込まれ、危うく遅刻しそうになった経験はないでしょうか。実は鹿児島市、日本一渋滞がひどいという調査結果がでました。その理由と取り組みについて取材しました。
国や県でつくる県交通渋滞対策協議会はこのほど、鹿児島市の市街地は、道路の混雑割合が全国ワースト1位であるという調査結果を明らかにしました。
「混雑割合」とは、全国の国道と都道府県道の中で「渋滞がよく起きる」、または「常に渋滞する可能性がある」道路の割合のことで、鹿児島市の国道や県道は、実に66パーセントの道路が混雑する道路に当てはまりました。
全国の都道府県庁所在地の中で人口が17位の鹿児島市が、どうして最も渋滞するのか、渋滞について研究している東京大学の西成活裕教授は、平地が少ない鹿児島の地形が背景にあると指摘します。
(東京大学 西成活裕教授)「いろんな道をとって、う回できればいいが、う回路が少ない道路ネットワークだと、どうしても渋滞が増えてしまう」
う回路が少ないうえに、自動車保有率が全国7位と車社会の鹿児島。う回路もすぐにはできない、車の台数も減らせない中、有効な対策として注目されるのが、通勤や通学で混み合う時間を避ける「時差通勤」です。
鹿児島市の建設コンサルタント会社「大福コンサルタント」は8年前から、時差通勤を取り入れました。本社が朝夕、混雑する国道225号線と産業道路に挟まれており、社員の1割から2割が出社と退社時間を、定時の午前8時20分から1時間遅くしています。
(大福コンサルタント総務課 立本洋久主任)「時差出勤を導入する企業が増えると、それだけ朝夕で時間帯が集中していたのが分散されるので、交通事情もよくなるのではないか」
渋滞を敬遠し、公共交通機関を使って通勤をしていた下尾崎さんも最近、マイカーを使った時差通勤を始めました。出社時間を遅くしたことで通勤時間が2割減ったと話します。
(大福コンサルタント 下尾崎泰宏さん)「コロナ禍で電車通勤のときに密を避けるという意味合いで始めた。(出勤時間が)短くなったし、ストレスもなくなった。夕方も混む時間帯があるので避けられていい」
渋滞と時差通勤の関係について、西成教授は、混雑のピークから車を減らす「山崩し」が重要と話します。
(東京大学 西成活裕教授)「どうしてもラッシュアワー朝と夕方、特に朝は人流も物流も車も非常に大変な状況になってしまう。いかに『山崩し』をするかがすごく大事で、大きな山があったら両脇に崩していくことが第1の方策」
実際に、県交通渋滞対策協議会の調査では、鹿児島市郊外の坂之上から天文館まで車で行く場合、出発時間を朝の7時15分から1時間早めると所要時間を半分以下に短縮できるとしています。
姶良から国道10号を通る場合、朝の7時過ぎから1時間早めると、所要時間はおよそ半分の35分に。
吉野から県道16号を通る場合、朝の7時半から1時間早めると、所要時間はおよそ半分の15分に。
郡山から国道3号を通る場合、朝の7時半から1時間早めると、所要時間はおよそ3分の2の26分に。
日置から県道24号を通る場合、朝の7時半から1時間早めると、所要時間はおよそ3分の2の42分に。
星ケ峯から県道35号を通る場合、朝の7時半から1時間早めると、所要時間はおよそ半分の27分に短縮できます。
渋滞の山をつくるのも崩せるのも一人一人の行動。朝早起きするのは大変かもしれませんが、少し頑張って、混み合う時間を意識して避けることが解消への一歩と言えそうです。

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