TRIP
10時間前
#233 Yurigahama百合ヶ浜(ヨロン島/鹿児島県)
ヨロン島にはビーチが60カ所も!
百合ヶ浜の拠点となるヨロン島は、鹿児島県の最南端の島。
鹿児島からは563キロ離れているのに対し、沖縄本島の辺戸岬からはわずか約23キロ。
距離的にも、文化的にも、沖縄の影響を強く受けています。
鹿児島県ながら、鹿児島よりも、肉眼で見えるほど沖縄本島に近い。
隆起サンゴでできたヨロン島は周囲約23.7キロの小さな島。
チョウチョウウオの形をした島の周囲は、ぐるりとリーフで囲まれています。
しかも島には河川がないため、海水の透明度は25~35メートルと、常に良好です。
ヨロン島へは首都圏から直行便が飛んでいません。
那覇もしくは鹿児島で飛行機かフェリーを乗り継がなくてはなりません。
那覇からヨロン島まで空路約40分。
思わず記念写真を撮りたくなる映えスポットです。
旅行者にとっては、少々ハードルが高いかもしれません。
けれど、それがヨロン島にとっては功を奏して、美しい自然がそのままに保たれています。
内陸部はサトウキビ畑や牧草地が広がっています。牛の方が人口よりも多いとか!?
幻の“白砂のサンドバンク”は長さ1キロにも!
通りすがりの島民さん。
野生のグァバをいただきました! 本当のグァバ、初めて食べた!
今回のヨロン島の最大の目的は、百合ヶ浜。
春から夏にかけての大潮周辺の干潮時のみ、白砂のサンドバンクが水中から顔をのぞかせるため、“幻のビーチ”と呼ばれています。
「ここはカリブ海? いや、日本だ!」と、改めて確認したくなるほど。
名前も砂がユリ(寄る)で、できることから、地元の言葉で“ユリバマ”と呼ばれ、さらに“百合のように白い”という意味合いも加わったとか。
絶好の状態ではサンドバンクは幅200~300メートル。
1年のうち数回、5月頃の大潮時などに長さ1キロまでのびることもあるとか!
日本のベストビーチランキングにも上位に名を連ねる百合ヶ浜。
ぜひ、上陸してみたい! 大潮にぴたりと照準を合わせて、ヨロン島へ向かいました。
百合ヶ浜はヨロン島の東部、大金久海岸(おおがねくかいがん、またはウプガニク)の沖、約1.5キロに位置しています。
百合ヶ浜へは大金久海岸のグラスボートや水上オートバイを利用するのがポピュラーのようですが、今回は絶景ビーチの皆田海岸から出船するマリンショップ「ビーチボーイクラブ」のボートに乗船。最大の干潮時に合わせて出発しました。
キャプテンの万次郎さん。
ヨロン島特有の、本名とは別にもうひとつあるヤーナー(家名)は「ハニ」さん。
ただ、数日前から気になっていたのが、天気図に現れていた台風の存在。
スタッフから「行けて今日がぎりぎり、明日は時化てしまうだろう」と、聞いてはいました。
百合ヶ浜へ向かう途上も、いつもなら穏やかだという海を、風速7~8メートルの風が波立たせています。
15分ほどで百合ヶ浜へ到着。
が、ビーチは水面下のまま。深さも30センチほどあります。
幻のビーチが現れようが現れまいが関係なく、その美しさに思わず、笑顔満開に。
百合ヶ浜で出会った塩川さんと高橋さん。
干潮に近くなるにつれ徐々に水深が浅くなり、くるぶしくらいの深さに。
今回の百合ヶ浜は残念ながら、台風の影響から逃れきれず、完全に姿を現すことはありませんでした。
誰かが作った幻のビーチ。
年の数だけ星の砂を拾うと、幸せになるらしいけれど……。
それでも海はカリブ海のような光踊るブルーで、まるでブルーキュラソーを流し込んだよう。
どこまでも浅瀬が続き、水平線と空との境も曖昧です。そしてさえぎるもののない大空に向かって、力いっぱい両腕を伸ばしたくなる爽快感です。
しゃがんで海に浸かっている人もいれば、寝転んで水遊びをしている人も。
中にはウエディング姿で記念フォトを撮影しているカップルも!
思い思いに百合ヶ浜を堪能しているようでした。
でも次回は、ちゃんと上陸を果たしたい!
本来ならば、こんな情景を見られるはずでした。©ヨロン島観光協会
移住組や若者が仕掛ける新たな風
百合ヶ浜で再ブレイク中のヨロン島。
実は、沖縄が返還される前の昭和40年代には日本最南端の島として、羨望の存在でした。
実に年間15万人もの旅行者が訪れ、いわばヨロン島バブル。
与論島観光ホテルの奥の棟の4階コーナールームに当時人気絶頂のアイドルの故西城秀樹が滞在したとか。
今は閉館。
その栄枯盛衰の余韻が、茶花周辺の銀座通りやハイビスカス通りに見てとれます。
銀座通りの中心にある信用金庫の「あましん」は、かつてはディスコとして一世を風靡。
シャッターを下ろしたスナックの看板も、どこか昭和のノスタルジーを感じさせます。
与論町は1984年にギリシャのミコノス市と姉妹都市に。こちらは180メートル続くミコノス通り。
独立国「パナウル王国」として、パスポートも発給。
いろんな店舗でお得な特典が受けられます。
一見、終わってしまった感(それが、いわゆる“エモい”んですけれども)のヨロン島。
けれど、移住組や若者が面白いことを仕掛けているようです。
シーマンズビーチを一望にするリラクゼーションサロンの「アワル」のセラピスト、喜田亜耶さんは「ハーブオイルを原料から作りたくて」とヨロン島に移住。
島に自生する月桃やヨモギ、レモングラスなどを使って、オリジナルのハーブオイルを作っています。島のめぐみに癒やされます。
シーマンズビーチの一画にあるリラクゼーションサロン。眺めだけでも癒やされそう。
島に自生するハーブでオリジナルのハーブオイルを作成し、トリートメントに使用しています。
かつて広島のエステで働いていた喜田さん。
オイルからオリジナルで作るためにヨロン島へ移住。
銀座通りの「オーシャンマーケット」には、大阪の「あきらドーナツ」とコラボした、ヨロン島の塩とキビザラメを使ったザクザクのヨロン島ドーナツやクッキーなどがあり、どれもおいしそう。
島の食材を使った、独自の商品も開発。
山梨でペンション経営をしていた小笠原さんが切り盛りする「刻の宿 SUZUKAZE」。
そんなヨロン島、次回はエコガイドが案内してくれた、穴場ビーチをご紹介。
嵐のCMロケ地や強力パワースポットもありますよ!
百合ケ浜
●アクセス 空路は那覇空港から約40分、鹿児島空港から約1時間35分。フェリーの場合、那覇港から約4時間50分
●おすすめステイ先 刻の宿SUZUKAZE
電話番号 090-3097-4532
【取材協力】
ヨロン島観光協会
http://www.yorontou.info/
古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。
“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/
コメント