漁師は知ってた名も無き滝、測ってみたら九州一だった 奄美大島・落差181メートル 名前募集中

181メートルの落差が確認された滝=2020年6月29日、奄美市名瀬小湊(浜田太さん提供)

奄美市は10日、同市名瀬小湊の沿岸部で巨大な滝を確認したと発表した。
落差は181メートルで、市は「九州最大の可能性がある」としている。
名称はなく、10月8日まで募集する。

滝は小湊港の南西約3キロの太平洋に面した岸壁。
木々に覆われた沢から絶えず水が流れ下っている。
船でしか見ることができず、漁業関係者らには知られていたが、上部が森に隠れて全体を把握できていなかった。
 
昨年5月、同市名瀬の写真家浜田太さん(67)がドローンを使い、頂点部分を含む全体を撮影した。
落差の調査の依頼を受けた市が今年8月末、現地で衛星測量のデータを元に割り出した。
 
国土地理院によると、河川の長さなどと違い、滝の落差は集計していない。
今回確認された滝は同院や市発行の地図に記載されておらず、地元で伝わる名称もない。
市は滝名をホームページで公募し、10月末をめどに決定する。同院地図への記載依頼も検討する。
 
浜田さんは「こんなに落差があるとは思っておらず驚いた。
世界自然遺産の島にふさわしい全国に誇れる滝だ」と話した。

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九州最大級の名無しの滝 呼び名はあった クルキチ、フーチブル… 住民に相談なく公募、市長「申し訳ない」 鹿児島・奄美市

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地元で複数の呼び名が伝わる滝=2020年6月29日、奄美市名瀬小湊(浜田太さん提供)

 
奄美市は17日、名瀬小湊で確認された巨大な滝の名称公募を中止した。
10日の公募直後から「古くから伝わる呼び名がある」と疑問の声が相次ぎ、17日に小湊集落の住民が朝山毅市長に「地元の名称を付けてほしい」と中止を要望。
朝山市長は「相談なく公募してしまい申し訳ない。調査不足だった」と謝罪した。
市によると、約3200件の案が寄せられていた。
 
滝は小湊と和瀬集落の中間にあり、奄美大島東海岸に注いでいる。
昨年5月、同市の写真家浜田太さんがドローンで撮影した。
落差181メートルと計測した市は「九州最大の可能性がある」と10日に発表。
地図に記載がなく、「地域に定着した統一名がない」として、全国に名称を募った。
 
要望書を出した小湊集落の栄嘉弘町内会長(67)によると、滝は古くから住民に知られ、島の方言で黒い岩を意味する「クルキチ」と呼ばれていた。
かつて滝周辺に「フツブル」という名の集落があったことから「フーチブルの滝」との呼び名も残る。
栄さんは「出身者からも困惑の声が上がっている。
愛着のある名を付けるべきだ」と憤った。
 
また、和瀬集落では「ナナタンの滝」と呼ばれていた。
和瀬出身で元県議の与力雄さん(76)によると、明治前後に商船が滝から水を補給するため、水をはじく大島紬7反(84メートル)を使ったとの言い伝えに由来する。与さんは「住民に聞き取りをせず公募したのは勇み足だ」と指摘した。
 
市は集落の代表と協議し、意向を尊重した上で名称を検討するが、名称の決定自体を見送る可能性もあるとしている。

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