焼酎の原料芋確保 計画の76%止まり 基腐病の影響拡大、半数が操業終了前倒し 鹿児島県酒造組合が77社調査

2022/01/24 08:38

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 鹿児島県酒造組合は、2021酒造年度(21年7月~22年6月)の本格芋焼酎の原料確保の見込みが、生産計画の76%にとどまったことを明らかにした。昨年11月に初めて実施したサツマイモ基腐(もとぐされ)病に関する調査の結果をまとめた。
 芋焼酎を製造する全77社に聞き取った。仕込みは例年9~12月に行われる。21年度の原料確保の見込みは5万5000トンで、生産計画の7万2000トンから20%以上減った。メーカーの4割は原料確保のため芋の受け入れを早め、5割が芋不足で操業終了時期を前倒しした。
 入荷した芋について6割は「品質が悪い」と回答、4割は「購入単価が高い」とした。組合によると、芋の収量減に加え、傷みによるロスも多かった。残さの処分費用や原油高による資材の高騰もかさみ、利益は縮小しているという。
 基腐病の影響が出始めた20年度の黒糖や麦などを含む本格焼酎生産量(アルコール25度換算)は、1991年度以来29年ぶりに10万キロリットルを割った。21年度の生産量は一層厳しくなると組合はみている。
 田中完専務理事は「地理的表示(GI)を守るためにも、国や県と連携し、農家が安心して芋を生産できる体制を整えるのはもちろん、消費者にも焼酎を飲んで応援してもらいたい」と話した。

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