鹿児島の最低賃金、9割が「安い」と回答…「商品値段は全国同じなのに」「生活が困難」 給与・時給も82%が不満 九州3紙合同アンケート

鹿児島の最低賃金、9割が「安い」と回答…「商品値段は全国同じなのに」「生活が困難」 給与・時給も82%が不満 九州3紙合同アンケート

2022/06/17 08:30

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2021年の九州各県の最低賃金

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グラフ・「現在の時給について」「今後の給与・時給上昇はある?」の回答

 南日本新聞、熊本日日新聞、西日本新聞の3紙は、最低賃金(最賃)が全国最低レベルの県が多い九州の実情を踏まえ、賃金や時給について労働者向け合同アンケートを実施した。鹿児島県内の回答者のうち、90.0%が最賃は「安い」と回答。現在の給与・時給についても「安い」「やや安い」と不満に感じている人が計82.6%に上った。賃金は伸び悩む一方、身近な商品の値上げラッシュが続いており、厳しい暮らしぶりが浮かんだ。
 アンケートは、南日本新聞の「こちら373」を含む3社の無料通信アプリLINE(ライン)などを使い、5月27日〜6月2日に実施。九州を中心に1540人(鹿児島県内は180人)から回答があった。
 居住地域の最賃を、どう考えるか尋ねたところ、県内では90.0%が「安い」、9.4%が「ちょうどよい」、「高い」は0.6%だった。理由としては「コンビニなどの商品値段は全国同じなのに最賃が違うのは不公平」「ガソリン、食料品の値上がりで苦しい」「生活が困難な額」といった切実な声が寄せられた。
 最賃の適当な額としては「900円以上950円未満」が最も多く28.3%。「850円以上900円未満」(19.4%)、「950円以上1000円未満」(17.2%)、「1000円以上1050円未満」(16.1%)と続いた。
 「現在の給与・時給についてどう感じていますか」の問いには「安い」(47.2%)、「やや安い」(35.4%)、「ちょうどよい」12.4%。「高い」「やや高い」は計4.9%にとどまった。
 今後、給与・時給が上昇するか、との問いでは「思わない」が最多の39.1%で、「あまり思わない」と合わせると72.0%に上った。「やや思う」「思う」は計21.8%だった。
 迫る参院選の争点として「賃金上昇」を重要と考えるか尋ねたところ、「最も重要」(36.1%)「重要」(33.3%)となった。
 日本の賃金を巡っては、諸外国と比べて伸び悩みが顕著で、経済協力開発機構(OECD)によると、2020年の平均賃金は35カ国中22位の439万円。1990年比で米国は約1.5倍、英国は約1.4倍増えたのに対し、日本は4%増にとどまっている。
 ◆アンケートは、多様な生の声を聞くのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なります。今回は質問項目の作成などに熊本大の中内哲教授(労働法)からアドバイスを受けました。

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