3万年前の姶良カルデラ巨大噴火 火砕流や火山灰、従来の1.5倍噴出か 研究機関が推計 指数7から8に上がる可能性

2022/01/27 15:05

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 約3万年前に鹿児島湾奥の姶良カルデラで発生した巨大噴火の火砕流や火山灰の噴出量が、従来の想定より約5割多い800~900立方キロとする推計を産業技術総合研究所がまとめた。当時の噴火は0~8の9段階の火山爆発指数(VEI)で7とされているが、研究が進めば8に上がる可能性があるという。
 同研究所が鹿児島県本土周辺の海域や陸域への到達量を復元し、推計し直した。火山灰は東北地方北部や北朝鮮でも降り、鹿児島市では約65センチ、大阪では約35センチ、東京や韓国・釜山では約10センチの降灰があったとされている。
 火砕流は半径約100キロに及び、県本土を中心に「シラス台地」を形成する。姶良カルデラから約50キロ離れた九州電力川内原発1、2号機(薩摩川内市)近くにも、高さ約10メートルにわたって堆積。巨大噴火のリスクは同原発の運転差し止め訴訟などで争点の一つとなっている。同社鹿児島支店は「引き続き最新の技術的知見を集め、発電所の安全性・信頼性の向上に努める」としている。

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写真・図版

約3万年前の姶良カルデラの噴火で出た入戸火砕流。高さ30メートルにも及び、九州南部にシラス台地を形成している=産総研提供

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鹿児島・姶良カルデラの噴火で、火山灰が降った範囲。東京にも約10センチの降灰があったとされる=産総研提供

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