65歳以上の無職世帯、毎月の生活費はいくら必要か

 

~悠々自適に暮らすためには~

「定年後は悠々自適に老後の人生を楽しみたい」という夢を抱える方は多いのではないでしょうか。

老後を豊かに過ごすためには、なんといってもお金が欠かせません。リタイア後は生活の柱が給与収入から年金収入にうつるため、暮らしぶりも現役世代とはガラリと変わります。

老後の生活には、どれくらいの生活費がかかるのでしょうか。今回は、総務省が発表している「家計調査年報(家計収支編)」より、老後の生活費について詳しく見ていきます。

  •  
  • 65歳以上・無職「夫婦2人世帯」生活費はどのくらい?

総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみの世帯)の月の生活費は、平均で22万4390円でした。

支出の内訳は以下の通りです。

食料・・・6万5804円
住居・・・1万4518円
水道光熱・・・1万9845円
家具・家事用品・・・1万258円
被服および履物・・・4699円
保健医療・・・1万6057円
交通・通信・・・2万6795円
教育・・・4円
教育娯楽・・・1万9658円
その他消費支出・・・4万6753円(うち交際費1万9826円)

上記の支出のほかに、税金や社会保険料などの非消費支出が平均3万1160円かかります。これを合わせると、夫婦2人の老後の平均支出は25万5551円となります。

一方で同調査より夫婦高齢者世帯の収入を見ると平均額は25万6660円です。収入が平均支出よりも1111円上回る結果でした。

ただし、例年の調査では支出を収入が上回り、貯蓄から不足分を取り崩していると考えられていました。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による支出の削減、また特別定額給付金の給付などにデータが影響されていると考えられますので、安心は禁物です。

 

65歳以上・無職「ひとり世帯」生活費はどのくらい?

同調査によると、高齢の1人暮らし世帯(65歳以上の単身無職世帯)の生活費は、平均13万3146円でした。

支出の内訳は以下の通りです。

食料・・・3万6581円
住居・・・1万2392円
水道光熱・・・1万2957円
家具・家事用品・・・5328円
被服および履物・・・3181円
保健医療・・・8246円
交通・通信・・・1万2002円
教育・・・0円
教育娯楽・・・1万2910円
その他消費支出・・・2万9549円(うち交際費1万5253円)

上記の支出のほかに、税金や社会保険料などの非消費支出が平均1万1541円かかります。これを合わせると、1人暮らし世帯の老後の平均支出は14万4687円となります。

同調査より高齢単身者世帯の年金を含めた収入は13万6964円でしたので、月7723円の不足となります。また、例年であればさらに不足分が多い結果でした。この不足分は、貯蓄から取り崩していかなければなりません。

1人暮らし世帯では、夫婦世帯に比べて住宅費や水道光熱費が負担となり、生活費が圧迫されることが考えられます。

 

高齢世帯「支出のチェックポイント」

ここからは、先ほどの紹介した支出の中から、特にチェックしておきたいポイントについて解説します。

住宅費

同調査では、住宅費が夫婦世帯で住居1万4518円、単身者世帯も1万2392円とかなり低い水準です。これは、高齢者世帯の持ち家率が高いために、平均値が大きく引き下げられていると推測されます。

老後も賃貸で暮らす人や住宅ローンの返済が終わっていない方、マンションの管理費や修繕積立金が高額な方などは、毎月の生活費がさらに必要になるかもしれません。

交際費

高齢者の交際費は、現役世代と比べて増加しています。同調査より2人以上世帯のうち勤労世帯の消費支出に占める交際費の割合が4.5%なのに対し、高齢者2人世帯では8.8%です。

実はこの交際費には「他の世帯への贈答品やサービスの支出」が含まれているのです。高齢者の場合、子どもや孫へのお祝い金やプレゼントが多いと考えられます。子どもや孫を喜ばせたいという気持ちもあると思いますが、その結果「老後破産」とならないように、無理のない範囲に抑えたいものですね。

保健医療費

保健医療費も現役世代と比べて増加しています。同調査より2人以上世帯のうち勤労世帯の消費支出に占める保健医療費の割合が4.3%なのに対し、高齢者2人世帯では7.2%です。

病気やケガで入院する際、または介護などで高額な費用が必要になることもあるため、生活費とは別に医療・介護費を備えておくと安心かもしれません。

 

 

ゆとりある老後生活を送りたいなら…

定年後は自由な時間が増え、今まで出来なかった分思いっきり趣味や旅行、レジャーを楽しみたいものですよね。もし、ゆとりある老後を送りたいのであれば、生活費のほかにも資金を用意しておく必要があります。

生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人のゆとりある老後生活費は平均で36万1000円となっています。

先述の平均生活費よりも10~15万円ほど追加で必要になるため、老後が20年と考えると2400万~3600万円ほどレジャーや旅行を楽しむための資金を準備しておくと良いでしょう。これについては自分が理想とする老後の生活をイメージして、先ほど紹介した生活費で足りるのか・足りないのか考えてみてください。

さいごに

今回は、老後の生活費のデータをご紹介しながら、お金と暮らしについて考えていきました。

みなさんの「いまの生活費」と比べてみていかがでしたか。もし現時点での生活費が、先述の「老後の生活費」よりも大幅に上回っているのであれば、老後は今よりも生活水準を下げて暮らしていく必要があるかもしれません。

ゆとりのある老後を送りたいのであれば、老後資金があればあるほど安心です。早いうちからリタイア後の理想の暮らしに向けて、コツコツ備えていきましょう。

コメント