畑でトラクターを運転する年神ミエ子さん=曽於市財部
曽於市財部町下財部の年神ミエ子さん(85)は、9年前に79歳だった夫の文夫さんを亡くし、一人で黒毛和牛の生産に励んでいる。
トラクターで畑仕事もこなす元気ぶりだ。
文夫さんが元気なころは、生産牛約10頭を飼い、米栽培や畑仕事、林業などに夫婦で汗を流していたという。
しかし、女手一つになってからは多くの牛を世話するのは大変。少しずつ減らし、現在は1頭だけになった。
とはいえ、早朝から餌やりや牛舎の掃除、堆肥の処理など楽ではない。
特に子牛の出産の時は神経を使う。
餌は飼料のほか、畑で育てた青草を刈り取って食べさせる。
子牛は年に1頭生まれる。最近の競り値は60万円ほどだったが、過去に100万円以上の値を付けて表彰を受けたこともある。
「あのときはうれしかった」と顔がほころんだ。
今は、10月半ば予定の子牛の誕生を楽しみにしている。
畑は3000平方メートルほど耕作。
自分で食べる分の野菜も栽培する。
5年前にくも膜下出血で20日間入院したときは「この先どうなることかと心配した」。
その後回復し、動けるようになった。
2人の息子は独立し、財部と福岡市で暮らす。
家族や近所の人たちが「無理はしないで」と気遣ってくれるのがうれしい。
「牛は私の生きがい。元気なうちは働き続けたい」と意欲は衰えない。
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