JR九州 吉松、串木野駅無人化 沿線住民、レール存続に危機感 定期購入、障害者の乗降介助 利便性低下を懸念 鹿児島

2021/12/24 11:42

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無人化されるJR串木野駅=いちき串木野市曙町

 JR九州が23日発表した来年3月からの吉松駅(湧水町)、串木野駅(いちき串木野市)の無人化に対し、地元自治体や観光関係者からは、サービス低下や将来的な路線存続への不安が聞かれた。高校生や乗り降りに介助が必要な人、車いす利用者らの懸念も尽きない。
 県内全75駅のうち、両駅を含め7割の52駅が無人となる。
 吉松駅はかつて機関区などがあり、鉄道の要所として栄えた。通学で隼人駅まで利用する隼人工業高校3年園田竜星さんは「毎月吉松駅で定期券を買っていた。雨などで列車が動かない時は駅員さんが学校に連絡していたので、今後どうなるのか不安だ」と後輩を気遣った。
 観光特急「はやとの風」は来年3月で終了、2020年7月の豪雨災害で不通となった肥薩線吉松-八代間は復旧の見通しも立たない。観光ボランティアガイド「湧水(わくわく)汽車(ぽっぽ)会」の大重忠文会長(74)は「残念なニュースが続く。路線廃止などという議論につながらなければいいのだが」と危機感を募らせる。
 湧水町は無人化の撤回を求め、年内にもJR九州鹿児島支社に要望に出向く。担当者は「来年は吉都線開通110周年。肥薩線との乗り継ぎ駅で、重要な駅だということをJR側にしっかり伝えたい」と話した。
 いちき串木野市は23日、市議会全員協議会で串木野駅の無人化を報告した。2駅隣の市来駅は市が業務を受託しており、市は串木野駅でも同様の対応ができるか検討する。
 市身体障害者協会の浅井重巳会長(73)は「これまで要望した駅のバリアフリー化はおおむね実現された。視覚障害者のためにホームドアがあれば良いが、駅の利用者数と費用を考えると現実的ではない」と複雑な胸中を明かした。車いす利用者が列車を使いづらくなる可能性はあるとして、「会員から意見があれば、要望化していきたい」と話した。

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