「かぐや姫」動かすのは水車 細かな動きまで 「薩摩の水からくり」

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からくり人形の巧みな動きに見入る人たち=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影
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かぐや姫が月に帰る場面=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影
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かぐや姫が誕生する場面=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影
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からくり館の裏の水路にかかる水車=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影
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舞台の下のからくり。水車の動力で動く=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影
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舞台の下のからくり。水車の動力で動く=2023年7月9日、鹿児島県南九州市知覧町、町田正聡撮影

 水車の動力で人形を動かす鹿児島県南九州市の夏の風物詩「水車からくり」が9、10日の2日間、同市知覧町の豊玉姫神社の六月灯で披露され、人形劇「かぐや姫」が上演された。繊細な人形の動きに、観客らは魅了されていた。

 水車からくりは江戸時代から続くとされる。太平洋戦争などで一時途絶えたが、1979年に保存会が復活させた。「薩摩の水からくり」として国選択無形民俗文化財になっている。

 水車を動力源に木製の歯車や滑車、てこなどを使う。人形は前後左右に移動するだけでなく、首や手足も複雑に動くよう工夫されている。演目は十数作品あり、それぞれ異なる仕掛けを使って人形を動かす。

 「かぐや姫」は2010年以来の上演。人形は高さ約15~50センチの21体で、ナレーションを含めて約10分間に、かぐや姫が竹から生まれ、美しく成長し、やがて月の都へと帰っていく物語を表現している。クライマックスは、旅立とうとするかぐや姫を侍たちが弓矢ややりで止めようとするが、かぐや姫が雲の坂道を月へと昇っていく場面だ。

 初めて観覧した同県姶良市の会社員内村奈月さん(51)は「水車の力だけで人形の細やかな動きを表現しているとはびっくり。来年もぜひ来たい」と目を細めた。

 保存会のメンバーで同神社の赤崎千春宮司(72)は「多くの人に楽しんでもらえてうれしい。今後も続けていくために、若手後継者の育成が課題」と話す。20人足らずの保存会のメンバーの平均年齢は、70歳近いという。

 水車からくりは、知覧ねぷた祭の29日にも午後1~9時に披露される。問い合わせは神社(0993・83・4335)へ。(ライター・町田正聡)

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