【年金生活者の定額減税】4万円減税は「いつ・どのように」行われる?住民税は6月減税じゃない!?一人あたり所得税3万円・住民税1万円

【年金生活者の定額減税】4万円減税は「いつ・どのように」行われる?住民税は6月減税じゃない!?

6月からいよいよ「定額減税」がスタートします。
定額減税と聞くと「給与所得者が対象」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は年金受給者の方も定額減税の対象になることをご存知でしょうか。

定額減税の対象となる年金受給者の場合、今日「6月14日」の年金支給日から、年金手取り額がアップする見込みです。
では、年金受給者の場合、減税は「いつ・どのように」行われるのでしょうか。

本記事では、年金生活者の定額減税について分かりやすく解説しています。
記事の後半では、どのくらい定額減税されたかを確認できる「年金振込通知書」と「公的年金等の源泉徴収票」について紹介しているので参考にしてください。

1. 6月から開始される「定額減税」とは?

まずは、「そもそも定額減税とはどのような制度か」という部分からおさらいしておきましょう。

6月から開始される定額減税とは、年金から天引きされている「所得税」と「住民税」が、一定額減額される制度です。

つまり、年金から天引きされる税金が少なくなることで、「年金の手取り額が増える」仕組みなのです。

定額減税により減額される限度額は、所得税と住民税で異なっており、所得税が3万円、住民税が1万円、合計で1人あたり4万円となります。

また、扶養家族がいる場合はその分もプラスされ、たとえば、夫と扶養に入った妻の2人世帯では、合計8万円の定額減税が受けられます。

【写真4枚】1枚目/公的年金の定額減税限度額(所得税・住民税)、2枚目/所得税の定額減税スケジュール

公的年金の定額減税限度額(所得税・住民税)

出所:国税庁「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」

年金受給者における定額減税の対象者は、2024年分所得税の納税者である居住者で、2024年分の所得税に係る合計所得金額が1805万円以下である方です。

なお、住民税非課税世帯・住民税均等割のみ課税世帯は、定額減税の対象外となります。

2023年度時点で住民税非課税世帯・住民税均等割のみ課税に該当する場合、「給付金」が支給されています。

2023年度は課税世帯だったものの、2024年度新たに住民税非課税世帯・住民税均等割のみ課税世帯に該当する場合には、給付金が支給されます。

年金は原則2ヶ月に1回、偶数月に支給されており、今日6月14日(金)は年金支給日です。

この支給日から、定額減税が始まることとなりますが、6月から減税され始めるのは「所得税のみ」となっています。

所得税と住民税で定額減税が実施される時期が異なるため、次章にてそれぞれ「いつ行われるのか」を確認していきましょう。

2. 公的年金の定額減税は「いつ・どのように」行われる?

前章でもお伝えしたように、所得税と住民税では、定額減税が始まる時期が異なります。

結論からお伝えすると、所得税は「2024年6月から開始」、住民税は「2024年10月から開始」となります。

それぞれどのように減額がされるのか、詳しく見ていきましょう。

2.1 公的年金における「所得税」の定額減税

所得税は、2024年6月の年金支給日から定額減税が始まります。

定額減税の減税方法は2パターンあり、1つは6月の所得税が限度額以上の場合です。

この場合、減税額を差し引いた差額が所得税として年金から天引きされます。

もう1つのパターンは、6月に天引きされる所得税が「限度額未満」の場合は、限度額に到達するまで、翌月以降も減額がされ続けます。

定額減税「所得税」

定額減税「所得税」

出所:国税庁「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」

たとえば、毎月の所得税が1万2000円だった場合、限度額3万円に達するまで、所得税は0円となります。

この場合、2024年10月の年金支給日で限度額3万円の減額が完了するため、2024年12月の年金からは通常通り1万2000円が徴収されることになります。

所得税額によっては、一気に手取りが3万円アップするわけではないため、留意しておきましょう。

つづいて住民税の定額減税について確認していきます。

2.2 公的年金における「住民税」の定額減税

住民税は、2024年10月の年金支給日から定額減税が始まります。

住民税も所得税と同様に、2024年10月支給の年金から、限度額全てを減税しきれない場合は、翌月以降の年金からも順次減額がされます。

なお、住民税の決定は各市町村が行っているため、不明点がある場合はお住まいの自治体窓口で確認することをおすすめします。

3. 年金受給者が定額減税を確認する方法

では最後に「どのくらい定額減税がされたか」を確認する方法を紹介していきます。

定額減税の確認方法は「年金振込通知書」と「公的年金等の源泉徴収票」の2つがあります。

順に詳しく見ていきましょう。

3.1 年金振込通知書

年金振込通知書とは、年金2ヶ月分の総支給額や、天引きされる金額、最終的な2ヶ月分の手取り額などが記載されたハガキタイプの書類です。

年金振込通知書

年金振込通知書

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

年金振込通知書には、所得税と住民税の天引き額も記載されており、2024年6月に送付されるものには「定額減税後の税額」が記載されています。

前回支払額と比較し、所得税・住民税がどのくらい減額されているか必ず確認しましょう。

公的年金等の源泉徴収票も要チェック

3.2 公的年金等の源泉徴収票

2025年1月頃に送付される「公的年金等の源泉徴収票」にも、定額減税に関する記載がされているため確認しておきましょう。

公的年金等の源泉徴収票には、実際に所得税額から控除された減税額と、控除しきれなかった金額が記載される予定です。

2024年分 公的年金等の源泉徴収票 定額減税額の記載箇所

2024年分 公的年金等の源泉徴収票

出所:国税庁「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」

減税しきれなかった金額に関しては「調整給付金」という形で支給がされるため、実際に支給された調整給付金の金額と、公的年金等の源泉徴収票に記載された控除外額が同じであるかどうか確認しましょう。

4. 定額減税がされているか6月の支給日に必ず確認を

本記事では、年金生活者の定額減税について解説していました。

定額減税の対象である場合、年金手取り額が増額するため、物価高が続いている中では非常にありがたい制度といえます。

とはいえ、所得税と住民税では、減税限度額や減税実施の時期などが異なるため、混合しないようにしっかりと制度内容の理解しておけると、年金支給日に正確な減税額の確認ができるでしょう。

参考資料

  • 国税庁「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」
  • 日本年金機構「年金振込通知書」
  • 執筆者

    和田 直子

    和田 直子

    株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部

    LIMO編集部記者/元銀行員

    神戸松蔭女子学院大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。三井住友信託銀行に転職後、資産運用アドバイザー業務に従事。投資信託・個人年金保険・外貨預金の販売を中心に、生命保険・医療保険、住宅ローンなども含め、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に約10年間従事する。特に投資信託や変額年金保険の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。2023年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて「厚生労働省管轄の厚生年金保険と国民年金年金制度の仕組み社会保障、貯蓄、資産運用「年金、貯蓄、NISAiDeCo、住宅ローン、FX、為替相場」に関する情報を中心に記事を執筆。大阪府出身。(2024年4月1日更新)

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