世界遺産、徳之島で初確認 特定外来生物「シロアゴガエル」 群島2例目、「要警戒 情報提供を」 環境省

世界遺産に特定外来カエル 徳之島、在来種と競合懸念

鹿児島県・徳之島で生息が確認されたシロアゴガエル=16日(環境省沖縄奄美自然環境事務所提供)

 世界自然遺産に登録されている鹿児島県徳之島町で、特定外来生物に指定されているシロアゴガエルの生息が初めて確認された。アマミアオガエルなどの在来種と餌や繁殖場所を巡って競合する恐れがあり、環境省は分布調査と並行して駆除する計画。1年以上前から定着し繁殖したとみられ、担当者は「監視態勢を構築してきたところで、非常に残念」と話す。

 シロアゴガエルは東南アジア原産でアオガエルの仲間。体長5~7センチ。ほっそりした体つきで4~10月が繁殖期。水のある環境に集まり「ギイッ」「グェッ」と鳴く。

 1964年に沖縄県嘉手納町で初確認され、本島や石垣島、宮古島などで定着している。2013年には鹿児島県の与論島でも見つかり、全島に分布している。

 8日に目撃され、通報を受けた環境省職員らが16日夜、周辺を調査し4匹を見つけた。これまでに計8地点で、20匹ほどの成体や卵塊約20個を発見。鳴き声から30匹以上いることを確認した。

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シロアゴガエルの成体(沖縄奄美自然環境事務所提供)

【徳之島総局】環境省は19日、特定外来生物シロアゴガエルを徳之島で初めて確認したと発表した。奄美群島では与論島に続き2例目。人畜に害はないが、繁殖力が強く、餌や繁殖場所の競合で在来種を脅かす恐れがある。既に相当数の個体が分布している可能性もあり、同省徳之島管理官事務所の田口知宏国立公園管理官は「早く手を打たないと島全体に広がる。最大限の警戒が必要」として、世界自然遺産である徳之島の固有種や生態系への影響などを危惧。「発見した場合は連絡してほしい」と島民へ協力を呼び掛けている。

シロアゴガエルは東南アジア原産のアオガエル科の一種で、体長は5~7センチ。背面が茶褐色や黄みがかった色をしており、脚が長く細長い体つきが特徴。繁殖期は4~10月で直径5~8センチのクリーム色をしたメレンゲ状の卵塊(泡巣)を水場近くの木の枝やコンクリート壁面などに産みつける。

シロアゴガエルの卵塊(沖縄奄美自然環境事務所提供)

国内では1964年に沖縄県嘉手納町で初めて侵入を確認。以降、急速に分布域を拡大し、2000年代には同県のほぼ全域に定着した。鹿児島県内では13年に与論島で初めて確認され、19年には同島全域への拡大が確認されている。

発表によると、5月8日に環境保護団体「徳之島虹の会」のメンバーが徳之島町徳和瀬で成体を発見。16~18日にかけて環境省職員と同会が調査したところ、徳和瀬、諸田、井之川の同町内3地区で成体30体以上、卵塊約20個を確認した。

徳之島への侵入の経路は不明だが、物資に紛れて持ち込まれた可能性が高いという。田口管理官は「比較的乾燥にも強く、直接水でつながっていない他の川や池にも生息を広げて、世界自然遺産エリアまで達する恐れがある。まずは生息域の確認を急ぎたい」と語った。

在来種のカエルとシロアゴガエルの音声が聴ける奄美野生生物保護センター「奄美のカエル鳴き声図鑑」のQRコード

シロアゴガエルは「ギイッ」「グエッ」など、他の在来種のカエルに比べると単発的に鳴く特徴があり、同事務所では成体、卵の目撃情報のほか、鳴き声を確認した際も情報の提供を求めている。連絡先は0997(85)2919徳之島管理官事務所。

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