人生の楽園 桜島沖の無人島・新島に移住して3年 夫婦が思い描く憩いのカフェ 昨年は550人来島「安心して遊べる島に」と建設へ

2022/02/17 21:18

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(上)休憩所兼カフェの建設予定地に立つ佐々木さん夫妻=鹿児島市新島町(下)桜島の浦之前港から行政連絡船に乗り、約10分で行ける新島

 鹿児島市の桜島北東に浮かぶ新島(しんじま)に、夫婦2人で暮らす佐々木直行さん(68)と妻和子さん(62)が、休憩所を兼ねたカフェの建設を進めている。島に日差しを防ぐ建物がほとんどないため、自宅前にコンクリートで基礎を造り、高さ約3.5メートル、幅約4メートルの木造平屋を建てる予定だ。約500万円の建設費のうち、300万円をクラウドファンディング(3月31日まで)で募っている。
 新島は面積が約13万平方メートル、一番高い所で約40メートルの島。1950年頃は約250人の住人がいたが、佐々木さん夫婦が来るまで6年間無人だった。12歳まで島で生活した和子さんは「父が死ぬ直前まで気に掛けていた、島の五社神社を再建したい」と北九州市から2019年に移住。現在は、神社を管理しながら、民泊や海上タクシーなどで生計を立てている。
 島へは日・水・金曜日の週3回、桜島の浦之前港から1日3便出る行政連絡船で10分ほどで行ける(料金・片道大人100円、小学生50円、70歳以上30円)。テレビの全国放送で紹介されたこともあり、訪れる人は20年が約400人、21年は約550人と増えている。中には、1週間滞在した70代男性もいたという。
 透明度の高い海や緑がいっぱいの自然を求めて、夏場を中心に子どもたちも大勢訪れる。しかし日差しを防ぐ場所がなく、木陰に入ると蚊が多い。夫婦は「熱中症など体調を崩す人がいずれ出る。安心・安全のために休憩所は不可欠」と建設に踏み切った。自動体外式除細動器(AED)も完備する予定だ。
 2人の手入れはもちろん、市河川港湾課が漁具など大量のゴミを撤去したおかげで、新島は年々美しさを取り戻している。休憩所の上に「ツリーハウス」を造る構想もある。佐々木さん夫婦は「『クラウドファンディングのやり方がわからない』と、現金書留を送ってくれる人もいる」と感謝し、「県外の人に鹿児島と桜島の良さを知ってほしい。すてきな思い出をつくってもらえる場所にしたい」と力を込めた。

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