企業版ふるさと納税 「リサイクル率日本一」の町が鹿児島県内トップ ヤフーなど13社、3.4億円寄付

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【関連表】企業版ふるさと納税の寄付額上位10自治体

 【関連表】企業版ふるさと納税の寄付額上位10自治体

 企業版ふるさと納税制度による企業から鹿児島県内自治体への寄付が増えている。内閣府のまとめでは、21年度に制度を利用した県と県内市町村への寄付総額は7億8900万円で、20年度の約2.5倍となった。寄付する企業の税軽減額が同年度から寄付額の最大9割に引き上げられた影響で、全国的にも増加している。返礼品競争が過熱する個人向けの制度同様、自治体側も企業への売り込みに知恵を絞る。
 企業版は、自治体が地域活性化事業を盛り込んだ「地域再生計画」を作り、内閣府の認定を受けると利用できる。県内では21年度、県と26市町村が利用。本年度は7月現在、県を含む40自治体が態勢を整えている。
 21年度の寄付総額の県内トップは大崎町だ。「リサイクル率日本一」の取り組みを発展させ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成と地域の課題解決に向けた活動を計画。IT大手ヤフーなど県内外13社から3億4699万円の寄付があった。
 多額の寄付が寄せられた要因に、担当者は計画を一つに絞ったことと、企業のSDGsに対する関心の高まりを挙げる。「SDGsに関心はあってもどう取り組めばいいか分からなかったり、企業単独では難しかったりする。町の取り組みを通じて貢献できるところが支持されているようだ」
 十島村は寄付企業数が県内最多の36社。関係人口を増やすためのPRプロジェクト(20~24年度)を掲げ、公共工事などで村と関わりのある県内企業を中心に呼びかけた。21年度は943万円を集めた。担当者は「寄付を活用して定住関連の村の支援制度や観光情報をPRする。今後は県外企業にも目を向けていきたい」と話す。
 県への寄付は1億2475万円だった。2年連続で肥後銀行(熊本市)から1億円の高額寄付があったほか、広報活動や県外事務所などを通じて東京や大阪の企業を中心に集まった。コロナ下の経済対策や人材育成に思いを寄せる企業が多いという。
 20年10月には国が人材派遣型の制度も創設した。企業が社員らを派遣し、人件費相当額を含む事業費を寄付すると税が軽減される仕組みで、地方創生を人材面から後押しする。
 県財産活用対策室は「企業版ふるさと納税を機に、企業との新しい関わりにつなげていけたら」と期待を込める。

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