妙見石原荘[鹿児島・妙見温泉]|プライベートを満喫できる客室が誕生。先代ゆかりの紅葉も楽しめる宿

新しい客室のリビングはプライベートな湯浴みスペース。[秋の美味と露天風呂を楽しむ宿5]

BY 須田秀子

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撮影=杉本 圭

美しく色づく木々もさることながら、実りの季節の旅に欠かせないのは、その土地の素材を味わい尽くす料理と、旅の疲れを癒やす露天風呂。食べて、浸かって、そして眺める。そんな充実の滞在が叶う宿をご紹介します。今回は、湯量豊富な温泉自慢の宿「妙見石原荘」です。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

湯量豊富な温泉自慢の宿。客室にも大浴場がお目見え

南九州の紅葉名所として知られる、天降川(あもりがわ)流域に広がる新川渓谷。遊歩道も整備され、秋には多くの観光客が訪れます。その川沿いで源泉を7つもつ温泉自慢の宿が「妙見石原荘」。手を伸ばせば川の水や紅葉にも触れられそうな露天風呂は、誰もが身を委ねてみたくなる開放感に溢れた絶景温泉です。
〈写真〉門から露天風呂へ続く道。かつては竹が多かったのですが、今秋は多種多様な木々の紅葉が空を覆います。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

1966年に創業した当初は団体客向きの宿でしたが、約40年前に個人客の満足を満たす宿へとスタイルを変え、露天風呂付きスイートルームが4室ある新館「石蔵」を増築するなど、リニューアルを重ねてきました。昨年秋には、本館の最も古いふたつの客室をひとつにして、リビングに大きな温泉風呂を設けた客室「瑠璃紫」が誕生。来年2月ごろにも本館の4部屋が露天風呂付きに新装されるそう。心からリラックスできるプライベート重視の空間が、これからも増えていく予定です。
〈写真〉2021年秋に完成した、温泉風呂を備えた特別室「瑠璃紫」。自然素材を組み合わせた藤田豪さんのデザインは、2022年の国際デザインコンペティションで受賞も。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

料理にも定評があり、京都の料理旅館で修業した料理長が腕を振るっています。甘めの味つけといわれる九州にあって、地元の食材を生かして甘さ控えめの味わいに仕上げ、秋には紅葉した葉をあしらうなど、色合いも鮮やかなひと皿に。まさに季節を丸ごと味わう料理です。
〈写真〉秋の八寸。太刀魚や天降川で獲れた子持ち鮎、山芋のうるか和えや山栗など、蔓籠に美味を盛り込んだ、季節感いっぱいの一品。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

鹿児島の秋の味覚の代表、秋太郎と呼ばれる脂ののった芭蕉かじきのお造り。お酒も薩摩焼酎のほか、各地の日本酒を取り揃えています。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

約1万坪の広大な敷地を彩る紅葉は、10年前に亡くなった先代が15年ほど前に植えたさまざまな樹木が主体。土地に根差した森づくりを提唱した生態学者の宮脇昭さんに私淑し、杉や竹、楓が多かった土地に、地元で見られるいろいろな種類の苗木を植え、雑木林をつくったそうです。支配人の中﨑善道さんは紅葉を見ながら話してくれました。

「先代は、景観としてだけではなく、温泉資源のためにも雨水を濾過する樹木が必要だと語っていました。たくさんの種類の苗木をまず高密度で植え、生き残ったものが育っていくという考えでできたのが、いまの雑木林。紅葉すると、赤や黄に金茶や茶も交じって色とりどり。より自然で楽しい感じになっています」
〈写真〉天降川沿いに点在する露天風呂のひとつ「七実の湯」。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

新館「石蔵」の客室はすべて露天風呂付き。渓谷の紅葉を思う存分楽しめる特等席に。

秋の美味と露天風呂を楽しむ宿

DATA
一泊2食付き2名1室の1名料金25,000円~(サ込) ※写真の客室「瑠璃紫」は75,000円~、新館「石蔵」の各客室は53,000円~
IN15時(一部の客室は14時) OUT11時
全18室

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