「丑の日」に食べるのはウナギ?牛? 一大産地が仕かけた論争の結末は…返礼品に見えた「変化の兆し」

鹿屋市が問題提起した「うしの日」を巡る新聞広告=同市役所

 鹿屋市が問題提起した「うしの日」を巡る新聞広告=同市役所

 「土用の丑(うし)の日」に食べるのはウナギか、牛か。7月3日付の南日本新聞と朝日新聞(東京本社発行)の全面広告を使い、鹿児島県鹿屋市が「うしの日」に一石を投じた。あれから1カ月。どんな結末を迎えたのか探ってみた。
 広告には市内の生産者が登場。和牛関係者が「『う』が付くからウナギという理由は弱い」「うしの日だから牛を食べるべき」などと主張。ウナギ関係者が「暑い夏を乗り切る知恵であり、守り続けていくべき食文化」と反論した。
 市ふるさとPR課の原添耕作課長(51)は「課題は地理的に遠くなるほど『鹿屋』の知名度が下がること。まずは街を知ってもらいたかった」と説明。その上で「市の2大特産品を押し出すことで、ふるさと納税につなげようという狙いがあった」と明かした。
 市のふるさと納税の寄付金額は2022年度、45億8735万円に上った。本年度も同規模を目指しており、論争を巻き起こすことで広報活動に弾みをつけた。新聞広告と同時に動画配信サイト「YouTube」を使った関連動画も配信。「50万回は見てもらえるのではないか」(原添課長)との予想を大きく上回り、8月3日時点で70万回を超える反響を呼んだ。
 論争の結末は-。同課は「根強い人気のウナギに、牛が一矢報いた格好だ」としている。論争が始まった7月をみると、返礼品に選ばれた割合は「ウナギ」の73.9%(前月比7%減)に対し、「牛肉」が3.1%(前月比1%増)と巻き返しを見せた。原添課長は「両者とも年末にかけて再び需要が高まる。『うしの日』の論争は簡単に終結とはいかないのでは」と話した。

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