BRAVO MOUNTAIN編集部
縦走をしてみたい。登山を始めると誰もが一度は思うことだろう。だが、山から山へ巡る縦走は、体力的にも技術的にもハードルが高い。
ところが、意外と手軽に縦走ができる山を見つけた。鹿児島県薩摩川内市にある藺牟田池(いむたいけ)の周りをくるりと1周、なだらかな7つの山を巡る、藺牟田池外輪山登山だ。
途中で池周りの道路へ下りることができる下山ポイントも多数あるので安心。さっそく藺牟田池へ向かった。
■自然豊かな火山湖、藺牟田池
池の周りを外輪山がコンパクトに囲んでいるのがわかる(撮影:ヤマシタ ナオト)
藺牟田池は、ベッコウトンボや水鳥の生息する重要な湿地として2005年にラムサール条約湿地として登録された、自然豊かな火山湖だ。
周囲約4kmの池を山々が囲んでいる。
案内図には表示されていないが、「船見岳(ふなみだけ)」と「竜石(たついし)」の間にもう1つ「交蔓山(こうかずらやま)」があり、合計7つの外輪山に囲まれている。
登山口には整備された駐車場があり、駐車できる台数も多い。
当日は、ボートやレンタサイクルなどを楽しむ家族連れや、登山を楽しもうとしているツアーの方たちで賑わっていた。
孤高の登山を楽しみたい方には不向きだが、人とふれあいながら賑やかな登山をしたい方にはおすすめだ。
■これから縦走する外輪山を確認
プチ縦走と呼ぶにふさわしい、コンパクトに並ぶ山々(撮影:ヤマシタ ナオト)
藺牟田池から外輪山を見渡すことができた。
この山々を一周してもとの駐車場に帰ってくることになるわけだが、なるほど、わかりやすい。今回は右回りコース(時計回り)を選択した。
■前半、1つ目~4つ目までの山は、なだらかな勾配のトレイルランニングコース
トレイルランニングにも適した歩きやすい登山道(撮影:ヤマシタ ナオト)
前半の山は、
1 愛宕山(あたごやま)
2 船見岳(ふなみだけ)
3 交蔓山(こうかずらやま)
4 竜石(たついし)
途中、多少の急勾配はあるものの、道は自然歩道として整備された歩きやすい道で、特に危険な箇所も見当たらない。
豊かな自然林と人工林を楽しみながら、ほどなく山頂へ到着。さらにゆるやかな尾根づたいを進む。
途中、ランニングをしている方と多くすれ違った。どうやらトレイルランニングコースとしても人気のスポットらしい。これだけ緩やかな尾根で整備された道、自然も豊か、となれば納得だ。
前半の移動時間、約1時間20分。それぞれの山で5分から10分休憩しているので、実際には45分程度で山を4つ巡ったことになる。ほんとうにプチ縦走だ。
■後半、5つ目~6つ目の山は、険しい岩場を楽しめる
湖面に映る山影の美しさと、縦走してきた山々が楽しめる(撮影:ヤマシタ ナオト)
途中、池を見下ろせるビュースポットをいくつか見つけた。自分が縦走してきた山々を見ることができるのは嬉しい。
後半の山は、
5 山王岳(さんのうだけ)
6 片城山(かたしろやま)
前半とは対照的に、急勾配で、岩を掴みながら登り降りをするような場面が出てくる。設置されたロープや鎖を掴みながら慎重に進んだ。
その後、片城山から最後の飯盛山までは平坦な道が30分ほど続き、岩場で疲れた体のクールダウンにちょうどよかった。
なお、ここまで各所に登山口が設置されていて、自分の体力に合わせ、途中で池の畔へ下山できるようになっている。岩場が苦手な方は前半を終えたあたりで下山すると安心だ。
■藺牟田池外輪山を代表する最後の山 飯盛山(いいもりやま)
美しい円錐形の飯盛山が最後の山(撮影:ヤマシタ ナオト)
いよいよ最後の山、飯盛山へ。藺牟田池外輪山を代表する、字のごとくお椀にご飯を盛ったような美しい円錐形の山だ。
登山口からコンクリート舗装された螺旋状の登山道をぐるぐる進み、山頂の広場へ。この山頂からも藺牟田池を一望でき、ここまでの藺牟田池外輪山はもちろん、遠く霧島連山まで確認できた。
最後は飯盛山を下山し、最初の登山口の駐車場でゴール。登山時間はトータル3時間30分となった。スピードはややゆっくり、休憩多めだったので、これがおそらく標準的な時間だろう。
■藺牟田池は初心者に絶対おすすめのぷち縦走コースだった
前半のトレイルランニングエリアと、後半の岩場エリア、そして最後の飯盛山。特徴ある3つのエリアで、7つもの山の縦走を4時間弱で楽しめる。途中下山可能なので体力に自信がない方でも安心。気軽に縦走登山をしてみたいという方に、ぜひ藺牟田池外輪山登山をおすすめしたい。
写真クレジット:ヤマシタナオト
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