【『千と千尋』の「かま爺のモデル」も出没!】奄美大島の深部へ入り込む「カヌー&トレッキングツアー」を疑似体験してみよう

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 鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間の洋上に位置する亜熱帯気候の奄美大島。

 この島のマングローブの森でのカヌー体験と原生林のトレッキングツアーでは、普段は目にすることのないさまざまな動植物と出会うことができます。

さまざまな会社がカヌーツアーを行っている

 まず、カヌーでマングローブの森を巡ってみましょう。カヌーツアーは大変人気があり、島を訪れる約8割の方が参加するそうです。

雨が降った翌日のため、水は通常よりも濁っていた

 流れの少ないマングローブの中を回るツアーは、方向転換も漕ぐのも楽。ほとんど波の立たない場所なので、初心者の方も安心して参加できます。

■満潮と干潮で違う顔を見せるマングローブ

干潮時にはカニなどが見られる

 干潮時間と満潮時間ではカヌーで通れる場所が変わります。満潮時はメイン水路だけでなく、枝分かれした細い水路を通ることができ、マングローブのアーチの中を進めます。

 一方、干潮時にはメイン水路以外は通れなくなってしまいますが、干潟した細い水路に上陸して散策することができ、より間近で動植物を観察できる利点があります。

天然のウルトラマン

 マングローブ特有の植物を身近で見られるのも、カヌーツアーの醍醐味です。

 なんだか見慣れたフォルムの不思議なものを拾いました。こちらは「サキシマスオウノキ」の種子。ウルトラマンの形に似ているので、こどもたちが競うように集めて持って帰るそうです。

まるでタコさんウインナー

 お弁当に入っていそうなこちらは、マングローブ林の陸側にかけて生育する常緑高木である「オヒルギ」の花。オヒルギは樹内の塩分を葉っぱに溜めていき、一定量塩分が溜まると黄色くなって落葉させて、樹内の塩分を減少させます。

■世界自然遺産「金作原原生林」を散策

このゲートから先はガイドの同行が必要

 続いて、名瀬市内から車で約30分の距離にある「金作原(きんさくばる)原生林」を歩いてみます。

 世界自然遺産である金作原原生林を歩くためには、2019年2月から認定ガイドの同行が必要となっています。勝手に散策はできませんので、必ずツアーなどを利用しましょう。

木や石の上で見られたアマミハナサキガエル

今回見た個体のほとんどは茶色だった

 前日に雨が降ったため、この日の散策ではたくさんのアマミハナサキガエルに出会いました。片道1時間ほどで見かけたアマミハナサキガエルは10匹以上。こんなに見られるのは非常に珍しいそうです。

 緑と茶色の2種類がいますが、秋で枯れ草が多いためか茶色ばかりを見かけました。体が小さい個体が雄で、すぐにジャンプできるように木や石など固いものの上で待機しているとのこと。

擬態したナナフシがどこにいるかわかりますか?

 よくよく目を凝らして歩くと、他にもたくさんの生き物に出会えます。

 ナナフシは上手に枝に擬態していたため、教えてもらうまでまったく存在に気がつきませんでした。千と千尋の神隠しの釜爺のモデルとも言われているザトウムシもたくさん見られました。

ザトウムシ。かま爺のモデルになったのも納得のお姿

■1億年前に誕生した生きる化石「巨大シダ」に圧倒される

巨大なシダ植物「ヒカゲヘゴ」

 この原生林ではさまざまな植物も見られますが、代名詞とも言えるのが「ヒカゲヘゴ」。恐竜がいた太古の時代を思わせるシルエットの植物で、日陰を作るほど大きく成長することから名前がつけられたそうです。

 日本最大級のシダ植物で、2m以上にも成長する葉は恐竜の餌だったと言われています。

樹齢200年の「オキナワウラジロガシ」

 一番奥には、板状の根っこ=板根が見事に発達した「オキナワウラジロガシ」が鎮座しています。巨大などんぐりを付けることでも知られるこの樹種は、非常に強度が高い材木になるため、首里城の建材などにも使われていました。しかし、戦後の森林伐採により、残念ながら現在は森の奥深く以外で、ここまで大きな姿を見ることはほぼできません。

 このような自然ツアーは通年実施されているため、季節を問わず参加できます。季節や時間帯、天候によって違う表情が見られるので、何度参加しても楽しめます。珍しい生き物や植物を発見した際などには、自然と参加者同士の交流も生まれるので、単独での参加でも楽しめると思います。

 自然に囲まれてのんびりしたくなった時には、穏やかで圧倒的な自然を感じられる奄美大島へ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

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