イギリス人女性が見た鹿児島県お気に入りBEST10

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL = University College London)はロンドンのカムデン区にあり、現在までに卒業生や教員などから計30人のノーベル賞受賞者を輩出しているイギリスを代表する総合大学です。UCL大学の中庭に150年前以上の幕末に長州藩と薩摩藩から英国へ渡った日本人24名の名前が刻まれた記念碑があることをご存じですか。

1865年当時、海外渡航が禁じられていた時代だったが、若者らは国禁を犯して香港やシンガポール、インドなどを経由して渡英し、人種を区別せず外国人を受け入れた唯一の大学UCL大学で学び、帰国後明治日本の礎を築きました。UCL大学で学んだことを讃えて建てられた記念碑を大学の中庭に見ることができます。彼らは近代では、幕末留学生や薩摩スチューデントとして知られています。

カムデン区にUCL大学の他、大英図書館、大英博物館、フロイト博物館、チャールズ・ディケンズ博物館、ケンウッド・ハウスなど名所と観光スポットが多数点在しています。そのカムデン区と鹿児島県が明治維新150年を記念して2018年7月に友好協定を締結しました。

そのカムデン区に住んでいるイギリス人歴史家・経済学者リリー・スカーレット・ホルバート(Lily Scarlett Horvath)氏が2022年11月鹿児島県に訪れました。そこで彼女が見た鹿児島県のTOP10をランキング形式で紹介します。

リリー・スカーレット・ホルバート氏とは

外交、政治、文化交流からファッション、地元の旬の食材を使った高級料理まで、幅広い関心と知識を持っている歴史家・経済学者です。 かつて何度か日本を訪れ、社会的、文化的な違いや日本の伝統を研究することで、日欧関係に基づくプロジェクトに参加するための確固たる基盤を築きました。質の高い農業、地元の農産物、織物など、鹿児島特有のトピックスについて学ぶことに強い関心を持っています。

10位 鹿児島の美しいお茶畑

日本人なら誰でも飲んでいるお茶。海外でも健康ブームの注目アイテムとして「グリーンティー」の人気が高まっていますが、外国人には実際お茶畑を見る機会は多くありません。リリー氏は初めて鹿児島で見た鮮やかな緑色のお茶畑に目を見張りました。カムデン区にある大英博物館では定期的に茶道体験イベントが開催され、着物姿の日本人が茶室で茶道についての歴史、文化的思想等を紹介しています。そこでお茶の魅力に触れ、鹿児島で実際の茶畑を見たことで大変感動したそうです。

9位 鹿児島市立美術館

鹿児島市城山町にある鹿児島市立美術館では美術コレクションの豊かさに心を打たれたそうです。まず彼女が驚いたのは美術館の前庭に19世紀を代表する彫刻家とされたロダンの作品。そして館内にはモネ、ルノアール、ウォーホル、セザンヌ、ピカソ、ダリなどの多彩な西洋絵画に触れ癒やされたそうです。作品の英文説明があればきっともっと楽しめたと言っていましたが、鹿児島出身の作家の作品も観られて満足したそうです。

8位 黒酢壺畑 in 福山

日本では黒酢が健康や美容によいものとして人気ですが、イギリスでは主に調味料として使われています。リリー氏は黒酢醸造所「坂元のくろず」と「黒酢の郷 桷志田」を訪れ、そこで黒酢に健康・美容効果があることを知ったそうです。そこで黒酢作りの歴史や行程を学び、試飲で様々な黒酢をテイスティングし、また黒酢レストランで黒酢を使った料理を存分にエンジョイしました。「五感で黒酢の世界を探検するって楽しい」とリリー氏が喜んでいました。

「坂元のくろず」と「黒酢の郷 桷志田」は鹿児島県霧島市福山町(きりしましふくやまちょう)にあり、黒酢壺畑の見学もできるところです。そこでリリー氏は、周辺の環境に馴染む無数の黒酢壺に息を飲みました。

7位 「鹿児島市維新ふるさと館」

リリー氏が薩摩スチューデントたちの活躍や明治時代の歴史を勉強したのは鹿児島市内にある維新ふるさと館です。歴史家でもあるリリー氏はここで英語でのオーディオ機器によるガイダンスを聞きながら半日もかけて館内をゆっくり見学したそうです。女性活躍の重要性は広く認知されている今、日本人女性の活躍を紹介する展示に非常にびっくりし、心が温まったそうです。

6位 地元民との交流イベント

日本に何度か訪れたリリー氏は鹿児島で出会った県民たちが一番フレンドリーで優しいと感じたそうです。

機会があればイギリスをテーマに交流会を開き、時には英国の文化、生活、ロンドンの風景について熱く語っていました。

5位 弓道大会

リリー氏は2022年11月27日(日)に姶良市(陶夢ランド)で行われた第55回義弘公奉賛弓道大会に招待されました。大会では老若男女が熱戦を繰り返し、その姿がとても印象的だったそうです。

大会の会場を歩いていると偶然に英語の先生をしているという方に声を掛けられ、弓の弾き方を教えて頂いたそうです。人生初めて本物の弓にも触れて忘れられない経験になったことでしょう。

4位 鹿児島の温泉(貸切温泉・足湯)

リリー氏がヨーロッパでは珍しい日帰りで利用できる貸し切り温泉を初めて鹿児島で体験しました。疲れた体を癒しにマイタオルとマイ石鹸を小さなかごに入れて温泉に行く鹿児島の方々を不思議そうに見ていましたが、貸し切りで使える温泉は「ナイスアイデア」と語っていました。

鹿児島空港に着いて外に出るとすぐに足湯があることに大大大ビックリしたそうです。「長旅の後に無料でこんな素敵な施設があるなんて最高だ」と語っていました。「世界のすべての空港に足湯があったらいいな~。」とも思ったそうです。

3位 水墨画のような日本の山並みの風景

グラデーションも美しく連なる鹿児島の山々に感動するリリー氏。
「こんなきれいな風景をポストカードにしてみたい」と彼女のコメント。

2位 新鮮な魚・刺身

日本の新鮮な魚を食べたことがあるリリー氏は釣りたての魚の姿を見たくて、姶良市(あいらし)で行われた第18回錦江湾カワハギバトルの決勝戦に足を運びました。そこで見たフレッシュな魚に感動したそうです。

持ち帰ってすぐにカワハギを捌き、何と人生初のカワハギ刺身に挑戦。ヨーロッパではこんなに新鮮な魚は手に入らないので、「美味しいお刺身のために日本に引っ越すのも良い」と冗談を言っていました。確かに一時間、二時間前は海で泳いでいた採れたての魚を持って帰って刺身にするなんてこの土地ならではの素晴らしい特権ですね。イギリスは日本と同じく島国なのに決して同じようにはいきません。海の幸の値段もずっと高い上に鮮度もよくないそうです。


左)タイの塩焼き 右上)カワハギの刺身 右下)カワハギの肝

1位 田の神様

鹿児島県で広く知られている田の神様は人々がまるで友達のような親近感を持って接しています。

リリー氏は大隅半島に多く点在する田の神様のうち約15箇所を巡りました。子供が宝探しに熱中するかのように一生懸命田の神様巡りをしていました。次回また鹿児島に来る際は田の神様の研究をさらに深めたいと語っていました。トレジャーハンティングは楽しいですね!

新たに田の神様が作られていないことは不思議かつ残念に思ったそうです。

最後に

鹿児島に住んでいる私たちにとってはリリー氏が珍しく思うことは必ずしも珍しいことではないかもしれません。逆にリリー氏にとってイギリスで珍しく思われないことを私たちが見るととてもビックリするかもしれません。お互いの交流を深めることでさらにいろいろな驚きや発見をすることができるでしょう。今後もリリー氏だけではなく、多くのカムデン市民が鹿児島を訪れたり、鹿児島県民がカムデンを訪れるような交流があればなんと素敵なことでしょう!

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