サツマイモのおいしい食べ方 家庭でできる4つの加熱方法 どれが一番甘くなるか比較してみた

鳴門金時を使用【写真:Hint-Pot編集部】鳴門金時を使用【写真:Hint-Pot編集部】

 秋を迎え、スーパーマーケットなどの売り場に旬のサツマイモが多く並ぶようになりました。天ぷらや大学芋、スイートポテトなどもおいしいですが、サツマイモそのままの味も堪能したいですよね。そこで今回は、家庭にある4つの調理器具で、サツマイモを丸ごと加熱。どの方法が一番甘くなるのか検証します。

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鳴門金時を使用 加熱前の糖度は10%

 今回は、家庭の調理器具で皮つきのサツマイモを丸ごと1本加熱し、どの方法が一番甘く仕上がるか検証。加熱方法は、電子レンジ、フライパン、オーブンレンジ、魚焼きグリルの4つです。

 使用するサツマイモの品種は鳴門金時。徳島県の鳴門市を中心に栽培され、ほくほくとした食感と上品な甘みが人気です。検証には1本あたり150~190グラムのサツマイモを使います。

 まずは、加熱をする前に生のサツマイモの糖度を測定。

生のままサツマイモをすりおろす【写真:Hint-Pot編集部】生のままサツマイモをすりおろす【写真:Hint-Pot編集部】

【加熱前の計測方法】
1. サツマイモの端を切り取り、皮をむいてからすりおろす

すりおろしたサツマイモを糖度計にセットする【写真:Hint-Pot編集部】すりおろしたサツマイモを糖度計にセットする【写真:Hint-Pot編集部】

2. 1を糖度計にのせて糖度を計測する

生のサツマイモは糖度10%【写真:Hint-Pot編集部】生のサツマイモは糖度10%【写真:Hint-Pot編集部】

 加熱前のサツマイモ4本の糖度を同様に計測したところ、すべて10%でした。これは、サツマイモ100グラムに10グラムの糖分が含まれていることを示しています。

その1:電子レンジで加熱 糖度は19.5%に

 検証では、これら同じ糖度のサツマイモを4つの方法で加熱し、それぞれ糖度を計測していきます。加熱後のサツマイモの糖度計測は、次の手順で行いました。

【加熱後の計測方法】
1. 器に加熱したサツマイモを入れ、水を半分の割合で加える
2. 混ぜ合わせてペースト状にして測定した数値から、実際の糖度を算出する

濡らしたサツマイモをラップに包んで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】濡らしたサツマイモをラップに包んで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】

 最初に検証するのは、電子レンジを使う方法です。濡らしたサツマイモをラップに包み、600Wで1分加熱、さらに200Wで8分加熱しました。高めのW数でサツマイモの温度を一気に上げ、その後、温度をキープしたまま低いW数で時間をかけて加熱します。

電子レンジで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】電子レンジで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】

 調理時間は9分。短時間で火が通りました。手で割って断面を確認すると、色は白っぽく、空洞ができて少しパサついているように見えます。ひとくち食べてみたところ、栗のようなほくほく感はあるものの、しっとり感はなく、期待していたほどの甘みは感じられませんでした。糖度はどうなのでしょうか?

 完成したサツマイモをペースト状にし、糖度を計測・算出したところ、結果は19.5%。加熱前よりも9.5%アップしていました。

その2:オーブンレンジで加熱 糖度は24%に

濡らしたサツマイモをアルミホイルに包んで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】濡らしたサツマイモをアルミホイルに包んで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】

 二つ目は、オーブンレンジで加熱する方法です。濡らしたサツマイモをアルミホイルに包み、予熱なしのオーブンに入れて160度で60分加熱します。

オーブンレンジで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】オーブンレンジで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】

 調理時間は60分と長いものの、断面が黄色く色づき、電子レンジで加熱したときのような空洞はありません。食べてみると、驚くほどねっとり感があり、甘みも強く感じられます。お店で買う焼き芋のような甘みと食感です。

 ペースト状にして計測・算出してみたところ、結果は糖度24%。14%もアップしました。

その3:フライパンで加熱 糖度は22.5%に

濡らしたサツマイモをアルミホイルに包みフライパンに入れ、フタをして加熱する【写真:Hint-Pot編集部】濡らしたサツマイモをアルミホイルに包みフライパンに入れ、フタをして加熱する【写真:Hint-Pot編集部】

 三つ目は、フライパンでの検証です。濡らしたサツマイモをアルミホイルに包み、フライパンに入れます。フタをし、弱火で10分加熱。途中でサツマイモを裏返して、フタをしてさらに15分加熱します。

フライパンで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】フライパンで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】

 調理時間は25分ほど。フライパンで加熱したサツマイモの断面は、皮付近に透明感があり、中心部分は白っぽいものの、しっとりした見た目です。食感は、ほくほく感が強く、多少のねっとり感もあり、甘みもしっかりと感じることができました。

 同様にペースト状にして糖度計で計測・算出してみたところ、結果は糖度22.5%。加熱前より12.5%アップしていました。

その4:魚焼きグリルで加熱 糖度は25.5%に

濡らしたサツマイモをアルミホイルに包み、魚焼きグリルで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】濡らしたサツマイモをアルミホイルに包み、魚焼きグリルで加熱する【写真:Hint-Pot編集部】

 最後は、魚焼きグリルで加熱する検証です。両面焼きタイプを使用しました。濡らしたサツマイモをアルミホイルに包み、魚焼きグリルに入れます。上火、下火ともに弱火に設定し20分加熱しました。

魚焼きグリルで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】魚焼きグリルで加熱したサツマイモの断面【写真:Hint-Pot編集部】

 調理時間は20分。断面を見ると、皮近くの外側に広い範囲で透明感があります。食べてみるととても甘く、しっとりとした食感のあとに、ほくほく感が口の中に広がりました。さらに加熱すれば、中心部まで透明感が出て、より甘みを感じる焼き芋に仕上がるかもしれません。

 糖度計で計測・算出すると、結果は糖度25.5%。加熱前よりも15.5%アップし、検証した4つの方法のなかで一番、糖度が増す結果になりました。

糖度が最も増すのは魚焼きグリル 好みで調理法を変えるのもおすすめ

 検証の結果、糖度計の計測で最も糖度がアップした調理法は魚焼きグリル。続いて、オーブン、フライパン、電子レンジの順でした。

 食感は品種にもよりますが、今回の検証で使用した鳴門金時の場合、ねっとり感重視ならオーブンレンジ、ほくほく感とねっとり感を同時に味わうにはフライパン、甘さ重視ならば魚焼きグリルを使うのが良いでしょう。電子レンジは、ほかの3つの方法と比べると甘みに物足りなさはありましたが、10分足らずで加熱でき、時短の面ではメリットが大きいといえそうです。

 サツマイモがおいしい季節。好みの加熱方法で楽しみたいですね。

(Hint-Pot編集部)

【写真】おうちでサツマイモをおいしく! 4つの加熱方法別 断面と糖度の結果をまとめて見る

電子レンジで加熱したサツマイモの断面。加熱時間は9分で、糖度は19.5%に

オーブンレンジで加熱したサツマイモの断面。加熱時間は60分で、糖度は24%に

フライパンで加熱したサツマイモの断面。加熱時間は約25分で、糖度は22.5%に

魚焼きグリルで加熱したサツマイモの断面。加熱時間は20分で、糖度は25.5%に

【写真:Hint-Pot編集部】

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