先日、鹿児島初の外資系シティホテル“シェラトン鹿児島”が開業するという、ウワサを聞きつけて弾丸トリップで行ってきた。思い起こしてみると、鹿児島に来たのはなんと19年ぶりとか。なぜ覚えているかというと、2004年の3月に鹿児島中央駅と新八代駅間の九州新幹線が開業した折に乗ったから。決して“乗り鉄”ではないのだけれど、新しもの好きとしては、話題のものはとりあえずトライしてみたいと思って出張ついでに乗ったのだ。あのころは、新八代より北はまだリレー特急で繋いでいたっけなあ、と感慨深い。
鹿児島の玄関口、鹿児島中央駅
さて、久しぶりの鹿児島出張、まずは羽田から空路で鹿児島空港へ。午前中の便はほぼ満席で、コロナ禍から比べるとその盛況ぶりに驚く。先日、長崎へ行った時も朝イチの便に乗るべく向かった羽田空港の混雑ぶりに圧倒され、「みんな、こんなに朝早くからどこに行くんだろう?」なんて、自分のことを棚に上げて思ったり。
鹿児島空港から市内へはバス。チケットを買うのにも、バスに乗り込むのにも行列だった。後から知ったけど、チケットがなくてもタッチ機能がついているクレジットカードならそのまま乗れたんだそう。早く言ってよ~。道はスムーズで、40分強で鹿児島中央駅へと到着。とりあえずは、ランチだ。
老舗の鹿児島ラーメンは、意外にも胃に優しいあっさり系
暑い日だったので、 つい、グビリ
いくつか目星はつけてきたのだが、この日はどうにもラーメンな気分で駅ビルのアミュプラザの中をうろうろ。やっぱり老舗の“こむらさき”ですかねえ。この後、別の出張も控えていて大きめのスーツケース持参だったので、こういう施設内の店舗が便利なのだ。
小さめの黒豚チャーシューがゴロゴロと
昼時にもかかわらず、運良くすんなり入れた。ラッキー! ラーメンは基本的に二択で鹿児島黒豚チャーシュー入りか、否か。もちろん、“入り”にてオーダーするわけですよ。麦で造った大人のジュースを飲(や)りつつ、待つことしばし。ドーンと到着したのはキャベツたっぷりの鹿児島ラーメン。
麺はストレートの中細系
見た目とは裏腹なあっさりしいたけ出汁のきいたスープに縮れのないストレートな麺。博多とか久留米とかの豚骨に慣れていると、ちょっと肩透かしにあったような感じもするけど、これはこれでアリ。優しいお味の豚骨って、こういうことか。
地元でも早くも話題の高層建築“シェラトン鹿児島”
シェラトン鹿児島の最寄り駅はこちらの武之橋。目の前だ
路面電車って、つい、乗りたくなる
腹ごしらえもして、路面電車でホテルに向かおうかな、と思いつつも乗り換えがあって、荷物も大きいのでここはタクシー。ドライバーさんに「シェラトン鹿児島までですが、場所わかりますか?」と伝えると、まだピンとこないよう。訪れたのはオープン前だからそりゃそうで、「キラメキテラス」と伝えると、「ああ、高麗町のあそこね」と。
タクシーのドライバーさんが驚いていた高層建築
「鹿児島市内には今まであんまり高い建物がなかったから、何になるんだろう?って話していたんだ。あそこがそのホテルなんだねえ」なんて会話をしつつ到着。モダンな雰囲気の車寄せにスーッと入っていく。
フロントのカウンターは鹿児島の地層を表しているとか
落ち着いた雰囲気の車寄せから入ると、目の前にはチェックインするフロントのカウンター。鹿児島のシラス台地をイメージしたという意匠がおもしろい。左側には緑があふれる天井の高いロビー、その奥には“&MORE”という広々としたカフェがある。鹿児島のリビングルームというコンセプトで、ソーシャルテーブルや個室も完備。若い作家の薩摩切子やなんと西郷さんの曾孫さんの器もあるとか。薩摩焼は白薩摩ではなくあえて普段使いされる黒薩摩をチョイスし、自宅のリビングのような親しみを感じてほしいとの意味が込められている。レストランやバーは全部で5つあり長期滞在しても飽きることがない。
フロント横のラウンジスペースにはグリーンがいっぱい
モダンで機能的なインテリアに感動し、温泉でほっこり
お勧めはやはり桜島ビューの部屋!
客室は6~8階で、全228室という鹿児島では有数の規模。この高さを生かし、桜島をはじめとして鹿児島市内の眺望が見事。上層階に配されたクラブルームやスイートルームに宿泊すれば、クラブラウンジの利用もできる。開業したばかりだが、もはや南九州のランドマーク的なシティホテルと言ってもよいだろう。
モダンで機能的な設えがイマドキな感じ
ガンメタのシャワーがかっこいい
部屋はやはり桜島ビューがお勧め。泊まったのは“桜島ルームキング”で、モダンで静謐なインテリアがボクの好みにピタリとマッチ。ベッドのヘッドボードの山々のシルエットとか、センスがいタクシーのドライバーさんが驚いていた高層建築フロントのカウンターは鹿児島の地層を表しているとかフロント横のラウンジスペースにはグリーンがいっぱいお勧めはやはり桜島ビューの部屋!モダンで機能的な設えがイマドキな感じガンメタのシャワーがかっこいいいなあと感心することしきり。またダブルの部屋はバスタブが併設。“インペリアルスイート”も時期にはよるが、28万円~と案外、リーズナブルでお得感あり。そしてなんといってもうれしいのが、宿泊者が利用できる源泉掛け流しの温泉があること。大浴場に足湯、ドライサウナにフィットネス、そしてスパまであって旅の疲れをゆっくりと癒やせる。たとえ部屋がシャワーブースだけでも温泉があるから問題なし!
源泉掛け流しの温泉も完備!
足湯でのんびりできるのもいい
多彩なレストランで、地のものを贅沢に使ったうれしい食体験
この日は特別メニューをいただいた
まずは、スペインの泡から宴が始まる
このシェラトン鹿児島では、旅の醍醐味である“食”が充実していて、ふんだんに地元の食材をいただくことができる。ディナーはメインダイニングの“フライングホググリル”にて。取材した日は特別メニューだったので、読者諸賢が同じものをリクエストできるかどうかは不明だが、ザッとご紹介しよう。
甘くない北京ダック風の前菜が食欲をそそる
まずは垂水産のカンパチとカリフラワーのピュレのアミューズから始まり、XO醬でスパイシーに仕立てたあえて甘くない北京ダックがかなり好みだった。「焼酎飲みたい~」となるはず。
最も気に入ったのがこの霧島サーモンの冷菜。盛り付けがかわいい
出色な出来映えだったのが霧島サーモンの冷前菜で、エディブルフラワーやディル、イクラで北欧っぽい盛り付けがいい。
鹿児島は黒豚も有名だけど、黒毛和牛もうまいのだ
鹿児島県産石鯛にズワイガニのカダイフ包み、黒毛和牛のシンタマの薪焼きと魚と肉のメインをいただいて、たけすみと黒糖を使ったシェフ特製のデザート“サクラジマ”がシメとなる。いやはや、大満足。このレストランは、鹿児島市内でも有数になるでしょうな、と感じた。
ビバリウム(温室)と名付けられたバー
温泉も入ったし、夕飯も済ませたし、あとは部屋に戻って寝るだけ。でも、なんとなくさみしい。実は先ほどのレストランの横には“ビバリウム”という温室をイメージした、緑の植栽豊かなバーがある。
取材日はここでは飲めずに残念
「ここでナイトキャップを!」と思ったのだけど、まだ開業前で、今度来たときは絶対に入ろうと心に誓う。
ということで、近所の飲み屋へふらり
それで、ホテルから歩いて、5分のせんべろ系飲み屋へと向かった。おなかはいっぱいだけど、芋焼酎を軽く引っかけてきた。素直に寝ないのって、楽しい時間を引き延ばしたいって、ことなのか。
>>>後編に続く
取材・文/藤村 岳
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