2月下旬、奄美大島に行ってきた。
2泊3日の旅である。
奄美大島は、鹿児島県に属する離島だ。沖縄よりも本州に近い。
以前、奄美大島に行ったことのある方から「何もないからこそ、楽しいよ」と勧められた日以降、ずっと気になっていた島だ。あまり旅行サイトで主張しているイメージはない。かなり穴場なのだと思う。
今回シュノーケリングをやってみたかったので、ガイドさんに連絡してチャレンジすることに。昔、江ノ島でシュノーケリングをした時、汚すぎて暗闇が広がっていたから、綺麗な景色が観られることを祈っていた。
行ってみたところ
想像をはるかに超えて素晴らしい島だった。
◇奄美空港へ到着!
羽田空港から直行便に乗り、約2時間で奄美大島に到着!!
まず最初に思ったのが
寒!!!!!!
曇り、気温15℃である。
あまりに寒いから現実逃避しに来たのに、移動した意味ないレベルで寒くてわらう。
これでアクティビティできるのだろうか?
余談だが、飛行機の席が狭すぎてJALなのに格安航空かと思った。肘掛け、背もたれ前のモニターさえなかったのだけれど、どういうこと?!
そもそも便数が少ない。課金してクラスを上げた方が快適に過ごせるであろう。復路はマツコみたいな人と隣同士になって、ミチミチの状態で2時間耐えた。Peachだったらさらに狭いということだろうか。
奄美空港のデザインは古き良き、昭和の薫りが漂う。
なんか、空港なのにお店が3店舗くらいしかなかった。一人で来たので、いろいろとミスしたかもしれない・・・この時はそう思った。観光PRについて石垣島・沖縄本島との温度差がすごい。歓迎ムードはない。寂れているのではなく、最低限の機能と実用性を備えた空間という感じ。
しかしながら、なんとかタクシーでホテルへ移動。
◇シュノーケリング
2月だけれど、シュノーケリングツアーは開催されている・・・!
水温は19℃~20℃とのことで、水道水よりは少し温かいかな、という体感。ドライスーツを着れば、首と手が濡れるだけで、体は水没せず泳げてしまうとのこと。15分程度かけてゴム素材を引っ張りながら履いていく。首への圧迫がかなりきついので、うっ血のギリギリ手前になる。ところが、水に入り、外圧と内圧を調整するギア(上腕部にある)をガイドさんがプシューッと押してくれると呼吸が楽に。もともと寒冷地で使用するために開発されたのがドライスーツで、体は濡れずに水に浸かるという不思議な感覚だ。
恐る恐る潜ってみると
おおおおおおおおおお!!!!!!
江ノ島と全然ちがうじゃん!泣
なにこの美しさ・・・
江ノ島ってなに
急にガイドさんに腕を掴まれて何事!?って驚いていたら
なんと
アオウミガメが出現しました。
そして消えていった
アオウミガメにも個体差があって、警戒心が強い子だったみたい。好奇心旺盛なアオウミガメなら、近づいてくれることもあるとか。陸で見た時、まさかこんなに近くにいるなんて思わなかった。水族館でしか、アオウミガメ見られなかったよ?!
カメはわりと浅瀬で餌を食べるらしい。時々、水面で呼吸するために顔を出すとのこと。この日、合計4匹見ることができた。いずれも、私を見て信じられない勢いで逃げていった。
水面と水中で、色合いにギャップがある!
本当に素晴らしい体験だった。シュノーケリングでの口呼吸が、最初少し苦戦したけれども、2月でも潜ってよかった。フィンは水泳のバタ足だと、かえってうまく進まないので、ゆったりとした泳ぎ方にしないといけないらしい。重力に任せた自然な揺らぎがフィンのコツだそう。寧ろ泳いだことない人の方が、変な癖がなくて習得が早そうだと感じた。7月にもう一度やってみたい。やはり、ドライスーツは首が苦しいので、真夏に水着+フィン+シュノーケルが一番身軽なのは想像がつく。西表島に行った時にも感じたが、ツアーガイドさんはカメラやGoProで映える写真を撮る技術に長けている。
7月にスキンダイビングやりたすぎる・・・!
◇グルメ
奄美大島では、味噌ピーナツを組み合わせたお漬物がよく出てきた。お土産でも味噌をまぜたお菓子、おつまみを見かける。調味料として混ぜ込まず、白米と味噌の別個で食べるのは新鮮で美味しい。
出汁の旨味がはっきり感じられる、お腹に優しいお茶漬けのような味。
奄美大島北部は鶏を使った料理で、南部は猪を使った料理になるのだそうだ。なぜなのかガイドさんに尋ねたところ、それぞれの動物の住処になっているので、料理にも反映されているらしい。家庭によっても味は変わるそうだ。
「みき」は、米とすりおろしたイモを発酵させた飲料。これはまだ飲んでいないのだけれど、ホテルで出て来た「みき」は、甘酒の甘さを半分にして苦味を足したような味。わりと飲めるかも!こんな飲み物があるなんて知らなかった。フルーツ系のバージョンも豊富だ。健康飲料として都心で売ったら爆買いする人がいそう。
◇島の絶景巡り
ガイドさんとドライブ
思った以上にちゃんとしたハートでわらった。
自然界で形成されたとは思えない程、左右対称である。
海が、水彩絵の具で溶いた水色のように明るくて
足元にソーダの泡が滑りこんできて
綺麗すぎて泣きそうになった。
と同時に、不謹慎なんだけど
有害物質でこの色になってる?
って思った。
そしたら、ガイドさんは笑って
「浅いからこういう色になるんだよ~」と教えてくれた。
「あの岩の上に登ろう!」いきなり提案され、震えながら登ると海岸を一望できる場所に辿り着いた。観光客は一人もいない。沖縄まで行かなくてもこんな景色があることに感動して沈黙した。
私はこういう景色がずっと見たかったんだ。
「この草食べられるんだよ」ガイドさんが無茶ぶりで草を食べさせようとする。タンポポの葉か、雑草だと思っていた長命草(ちょうめいそう)。思い切って食べたら春菊の味がした。天ぷらにしたら美味しそうですねと言ったら、本当に天ぷらにするらしい。
岩場を歩いていると、地元の方々が豆腐を入れるようなザルを持ってうろうろしている。何をしているのか尋ねると、「アオサを採っている」とのことだった。今日の晩御飯になるらしい。
アオサって、買うんじゃなくて採れるの!?!?
「海水で砂利を落として食べられるよ~」またもやガイドさんからお声がかかった。水草にしか見えなかったのだが、食べたら
アオサだ
波の音が聞こえてくる。夢みたいな瞬間・・・!
バナナの花めちゃくちゃ気持ち悪くない?!もっと近距離で見たら、大きくて色が終わってる組み合わせだった。しかし、その上に房ができているので衝撃を受け止めきれず今日に至る。
アダンの実、私はパイナップルだと思っていた。年中実っているのにも関わらず、苦くて人間は食べられないらしい。鳥が食べるのだそうだ。石垣島にもあったことを思い出した。
複雑に絡み合い、アスレチックにように腕を伸ばすガジュマル。ガイドさんと木に登り、木の枝に身を預けて無の時間を過ごす。鼓動は聞こえないけれど、風が耳元で葉を揺らす音だけが響いた。もはや忘却の彼方にあった自然とのふれあいに、スマホ越しの世界が全てではないと思い直す。
◆環境問題
海岸を歩いていると、おじいさんがペットボトルをかがんで拾っていた。
ガイドさんとご挨拶すると、私たちも流れでペットボトルを拾う。
私が最初に拾ったペットボトルはハングル文字だった。
ぎょっとしてガイドさんに声をかけると「他の海岸にもたくさんあるよ~」とのことだった。私は知らなかった。手の空いた時に、集落の方々が漂着ゴミを集めているのだそうだ。家庭ゴミとは別に漂着ゴミスペースが作られている。「毎日やらないとゴミ山になっちゃうから」なんて、さらっと衝撃を残していった。ヨーロッパのどこかの国のペットボトルかと思えば、いろはすが転がっているのが虚しさに拍車をかけた。この収拾作業は時間を奪われる上、集落は高齢化が進んでいるから、将来に渡って持続できないことは明らかである。ペットボトルの素材を変えるか、観光客が拾えるように袋を用意しておくか。
都会にいると、合理化が進みすぎて考える隙すら与えられない感じがする。
◇大島紬
大島紬のスカーフ購入。
艶のある薄手の仕上がりで、幾何学的なデザイン。
ソテツは山崩れを防ぐために植えられているほか、伝統の泥染め用の泥田を作るために生かされている。蘇鉄(そてつ)と書くように、鉄分を豊富に含んでいるらしい。
奄美大島では、家の敷地の草刈りをしょっちゅうやらないと、ハブの生息地になってしまうので注意されるらしい。
◇シマンチュと謎のランチタイム
お土産屋さんで、お土産を買って帰ろうと思いタクシーに乗る。
するとタクシードライバーのおじさんが、この建物も見ておくといいよ、知り合いがいるからといきなり案内してきたのが蝶の館だった。
お土産を買うと、島人のおばあが急に絡んできた。
「この後どうするん?」
「うーん、飛行機の出発まで時間があるので、もうちょっとお店にいようかなと思います」
「じゃあ、それまで一緒にお昼食べるか」
「いや、お仕事中だと思うので申し訳ないですよ・・・!」
「じゃあ、一緒にお昼食べるか」
「・・・はい」
謎のゴリ押しで一緒にご飯を食べることに。
えええええええええ
部屋に行くと、見知らぬシマンチュが皆でお昼ごはんを食べていた。
若い人もいる。そこで、私はなぜかカレーうどんを頂いた。急な出来事にかしこまって戸惑っていると、シマンチュの一人が迫真の表情でこちらを見ている。
「ねえ、変なこと聞いていい?」
「変なことって、何ですか?」
「やっぱりみんな、アプリで出会うの?」
質問が面白すぎたのだが、本人は迫真の表情を崩さない。
いや、色んな人がいますから・・・!!!そういう人も実際いますが・・・!私では絶対に代表できない説明を、見聞の限りで話したら妙に納得されたようである。
「私、東京に行ったらオロオロしちゃって田舎者って言われそうで怖い」
「そんなことないです!」
それを聞いておばあが
「東京に行ったら、何でも知っとるという顔しないといかん!」と強引に〆て終わった。それも違うと思う。
その後も訪問者がぞくぞく現れ、皆でスクラッチカードを削るなど、シマンチュのコミュ力と優しさが溢れた。今思えば、暇だった説が濃厚である。
序盤に「奄美は一人で来るところではないよ?」と仰ったと思えば、帰り際には「また奄美に来なさいね!?ねっ?!ね!!!!」と強く肩を抱かれた。どっちだよ。
みかんとオレンジの間のような味でおいしい!
◆明らかに穴場となっている奄美大島
島を挙げての観光PRをあまり行っていない印象を受けたが、だからこそゆっくり回遊できる良さがある。ほぼプライベートビーチの状態だった。旅行サイトでもあまり主張していないから、だいたい沖縄・宮古島に観光客が流れるのであろう。車で3日かけても全部は回り切れない広さはあるだろうに、このまま魅力をそっと秘密にしておきたいような、不思議に包まれた島であった。
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