不動産サイトに突如現れた「1円の家」を買ってみたら、とんでもない費用になった

値上げラッシュのご時世にもかかわらず、なぜか1円という超破格値で売りに出されているものがある。超高額なものから、食品、生活雑貨まで……「1円」の値づけの秘密と買う方法に迫った!今回はなんと温泉つきの「1円別荘」を購入できた方に話を聞いてきた。

東伊豆の温泉つき「1円別荘」を運良く購入

欲しいモノ[全部1円で買う]技術

物件購入時は庭木も荒れ放題。

空き家問題が深刻化する一方、自治体が運営する「空き家バンク」や「空き家ゲートウェイ」といったマッチングサイトが盛況だ。「100円均一」を謳った物件も数多くあるが、個別の不動産サイトを丁寧に探すと1円で売買されている掘り出し物もある。 相続税対策として売り出された東伊豆の温泉つき「1円別荘」を購入した松久保秀昭さんは、希望者が殺到するなか、運良く購入に至った。

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松久保氏の次男が1円を売り主に手渡し、物件を購入した。

1円で買ったのに費用が膨れ上がり…

ところが、話は一筋縄ではいかない。別荘地特有の必要経費に加え、築古の木造物件ゆえ、修繕費がかさむのだ。 「初期費用は物件価格1円に加えて、登記費用10万円や水道維持協力金約43万円、温泉計量器の交換工事費5万円など合計113万円ほど。入居後の屋根のリフォームや風呂の修繕費用なども含めると、トータルでは200万円ぐらいかかりました」(松久保さん) 欲しいモノ[全部1円で買う]技術

1円別荘、月々のランニングコストは?

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募集時のチラシ。築44年(当時)で2DKの木造2階建て。最寄り駅から約3.3㎞離れているため車は必須の環境

普段は自宅で過ごし、週末は別荘を訪れる2拠点生活。月々のランニングコストはどれほどなのか。 「固定資産税や管理費、温泉利用料など、絶対にかかるのが毎月2万円弱。光熱費等は電気・ガス・ネットで約2万円(※水道代は管理費に含む)。あとは自宅からの高速道路代とガソリン代が毎回6000円前後なので、月に2万5000円ぐらいになります」(松久保さん)

一家にとっては代えがたい価値がある

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屋根で昼寝。週末は家族でリラックス

締めて毎月6万5000円だが、それでも一家にとっては、代え難い価値がある。 「別荘を買う少し前に子供が病気になりましたが、自然豊かな環境で過ごすことで、いいリハビリになりました。今は海が見えるように庭木を整備したので、海から昇る朝日を眺めながらコーヒーを飲んだり、子供たちと屋根に上ってお月見をしたり。最高の贅沢ですよ」

家に大金を払うという価値観は、もう捨てよう

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草木生い茂る中古住宅も海の見える別荘へ昇格!

まさに夢の別荘ライフだが、こうした物件情報に触れるには、特殊なコネは要らない。松久保氏の物件を紹介した不動産会社「リライト」をはじめ日本各地の住宅地や別荘地の1円物件を取り扱っているサイトもあるからだ。 家に大金を払うという価値観は、もう捨てよう。 取材・文/片岡あけの(清談社)

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