鉄道存廃議論の目安 県内は3路線3区間が該当 JR九州が輸送密度公表「回復傾向あるが、人口減の影響避けられない」

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 JR九州は6日、2022年度の在来線と新幹線の1キロ当たりの1日平均利用者数を表す「輸送密度」など線区別の利用状況を公表した。国が10月に制度化する経営難の地方鉄道の存廃を議論する「再構築協議会」設置の目安とされる輸送密度1000人未満の区間は10路線12区間で、鹿児島関係は3路線3区間が該当した。
 鹿児島関係で1000人未満だったのは、肥薩線の吉松-隼人(493人)、吉都線の都城-吉松(394人)、指宿枕崎線の指宿-枕崎(220人)。21年度と比べていずれも減少しており、指宿-枕崎は8.3%、吉松-隼人は4.8%減った。
 同社は2000人未満の区間は収支を公開しており、14路線20区間全てで赤字を計上した。鹿児島関係では1000人未満の3区間に加え、日豊線の都城-国分(1068人)、指宿枕崎線の喜入-指宿(1862人)が該当。赤字額は都城-吉松の3億7300万円が最も多く、前年度から3200万円膨らんだ。吉松-隼人は8100万円悪化して3億4300万円。指宿-枕崎は3億3700万円だったが、1億5700万円圧縮した。都城-国分は3億6000万円で、5500万円改善している。
 肥薩線の人吉-吉松、日南線の油津-志布志は不通や長期運休で公表しなかった。
 20区間の赤字総額は約60億円で、比較可能な18区間で前年度より約1億円悪化した。赤字が最大だったのは、日南線の田吉-油津の6億7800万円だった。同社は「コロナ禍や災害から回復傾向が見られるが、人口減少や少子高齢化の影響は避けられない。交通ネットワークを持続可能なものにする取り組みを進めていきたい」としている。
 九州新幹線(博多-鹿児島中央)の輸送密度は1万3984人で前年度から47.1%増えたものの、コロナ禍前の18年度の72.5%にとどまる。22年9月に開業した西九州新幹線(武雄温泉-長崎)は5882人だった。
 JR九州は路線の現状を知ってほしいと18年度分から利用状況を公表。民営化した1987年度から利用が大きく減った区間で沿線自治体と「線区活用に関する検討会」を立ち上げ、利用促進策を協議している。

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