人気衰えずの『焼酎』 なぜ「焼」という漢字が? 同じ麦が原料でもウイスキーとは何が違う? 意外と知らない基礎知識をバーテンダーが解説

 神戸・花隈にある「Bar SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」の店主でバーテンダーの森崎和哉さんが、今回は『焼酎』の基礎知識を解説。意外と知らない焼酎の語源や定義、作り方について話を聞いた。

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本格焼酎「百年の孤独」

 そもそも『焼酎』とはどのような意味を持つのか、なぜ”焼く”という漢字が使われているのか。その語源について尋ねると、森崎さんは「“焼く”は『蒸留』を意味していて、酎は『濃いお酒』を表現する時に使う言葉です。つまり焼酎とは『蒸留した濃いお酒』という意味なんです」と教えてくれた。

 例えば同じく葡萄の蒸留酒であるブランデーも、オランダ語の「ブランデウェイン・Brandewijn」(焼いたワインの意味)を語源としていると言われている。

 そして焼酎の定義については、森崎さんはこのように説明した。

「簡単に言えばジン・ウォッカ・テキーラ・ラムなどの洋酒以外の蒸留酒を日本では酒税法上『焼酎』と呼んでいます。さらにスパイスやハーブで香りをつけたり、原材料やアルコール度数の規定など『これをしたら焼酎とは呼べない』というルールも法律で決まっているんです」(森崎さん)

 そんな焼酎の基礎知識について語った後、森崎さんが紹介してくれたのは、宮崎県にある酒蔵・黒木本店の麦焼酎『百年の孤独』だ。通常、焼酎は製造後に瓶詰めをしてすぐに販売されるが、『百年の孤独』は樽で熟成させるのだそう。

 麦で作った酒を樽で熟成させる、という製法はウイスキーとよく似ているが、麦焼酎とウイスキーにはどのような違いがあるのだろうか。

「麦を使うという点では同じですが、焼酎は発酵前の糖化に『発芽した大麦(麦芽)を使わない』と決められています。ウイスキーの場合は麦を発芽させて糖分を引き出すのですが、焼酎は、麦芽を使わず日本古来の麹(こうじ)を使います。それが麦焼酎とウイスキーの大きな違いですね」(森崎さん)

 また、作り方にも種類があり「連続式蒸留焼酎(甲類)」と「単式蒸留焼酎(乙類)」に分けられるのだそう。連続式蒸留焼酎は、原料をどんどん継ぎ足して何度も蒸留を行い、アルコール度数を高め、すっきりとした味わいに仕上げる方法。一方、単式蒸留焼酎は、原料由来の香味成分を残す蒸留方法なのだと言う。

「『百年の孤独』もそうなんですが、”本格”焼酎と言われるものは基本的に単式蒸留焼酎を指します。アルコール度数も、連続式蒸留は36度未満、単式蒸留は45度以下と、製法によって基準が定められているんですよ」(森崎さん)

 今回は、焼酎の基礎について解説してくれた森崎さん。次回からは個性的な焼酎を紹介する予定だと明かしていた。

※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』笑ってBar「サヴォイ・ゴロー」より

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