弥生期の墓か 2800年前の環状土坑群、国内初 配置に縄文時代の特徴「精神文化を受け継いだ、南九州独特の埋葬」 鹿屋・立塚遺跡

立塚遺跡で見つかった墓とみられる土坑群。画面中央の環状に配置された穴がA群の土坑(鹿児島県埋蔵文化財センター提供、合成写真)

立塚遺跡で見つかった墓とみられる土坑群。画面中央の環状に配置された穴がA群の土坑(鹿児島県埋蔵文化財センター提供、合成写真)

鹿児島県埋蔵文化財センターは4日、鹿児島県鹿屋市吾平町麓の立塚遺跡で、環状配置された墓とみられる弥生時代早期(約2800年前)の土坑(どこう)群を発見したと発表した。土坑墓を環状に配置するのは縄文時代の特徴とされ、弥生時代のものが見つかるのは国内初。同センターは「縄文時代の精神文化を受け継いだ、南九州独特の埋葬と考えられる」としている。
土坑群は、60メートル×40メートルの楕円(だえん)形(A群)と規模不明(B群)の2カ所。いずれも、周囲から約0.2〜0.5メートル盛り上がった土地を囲むようにある。計30基以上ある土坑の大きさは、0.8×0.5メートル〜6.5×1.3メートル。深さは約0.7〜0.8メートルで長方形や方形が多い。墓のある場所を掘り広げる「切り合い」が見られ、被葬者の親族も併せて葬ったと考えられる。
土坑付近からは、壊れた状態の皿や台付鉢形土器、壺(つぼ)形土器が出土した。また、B群には直径0.7メートルの柱穴が5基見つかっており、建物があった可能性がある。
同センターの寺原徹調査課長(57)は「弥生時代の墓の作り方は分かっていないことが多い。今後の研究の指標になる」と期待を込めた。
2020年度から実施する県道改築事業に伴う発掘調査で見つかった。11日午後1時半〜3時、現地説明会を実施する。事前予約不要。

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