従業員確保難しく… ホテル佐多岬再開めど立たず 鹿児島・南大隅町

4月から休館となっているホテル佐多岬=鹿児島県南大隅町佐多馬籠で2023年11月4日午前11時26分、梅山崇撮影

4月から休館となっているホテル佐多岬=鹿児島県南大隅町佐多馬籠で2023年11月4日午前11時26分、梅山崇撮影

 九州本土最南端、大隅半島先端の佐多岬にある「ホテル佐多岬」(鹿児島県南大隅町)が、従業員確保の難しさを理由に指定管理者が撤退してから4月以降、休館となっている。佐多岬は観光地だが、現在この周辺にある宿泊施設は民宿が2軒のみ。ホテルを所有する南大隅町には宿泊場所の問い合わせが数多く寄せられているが、再開するかどうかのめどは立っていない。

 ホテル佐多岬は旧佐多町時代の1997年、国民宿舎「佐多岬荘」として開設。合併して南大隅町になった後の2006年から指定管理者が運営を担うようになり、17年から東京の会社が指定管理者になっていた。鉄筋コンクリート4階(地下1階)建てで延べ2893平方メートル。客室23室に加え、レストランなどがあった。

 宿泊客は、13年度が3643人。新型コロナウイルスの影響を受けた20年度は1097人に落ち込み、近年は赤字続きだった。それでも21年度1314人、22年度1855人と回復傾向にあった。しかし、地元住民の高齢化などで従業員確保が難しくなり、撤退を余儀なくされたという。

 佐多岬は海をはさんで反対側の薩摩半島の開聞岳のほか、屋久島、種子島なども望める眺望が魅力だ。しかし、施設の不足で地域に宿泊、滞在は難しく、同町企画観光課の立神久仁子主幹は「宿泊客を増やしてこそにぎやかさが戻る。再開できればうれしい」と話している。

 町は、外部のコンサルタントに依頼して今後の需要などに関わる報告を今年度末をめどに受けた上で再開の有無を判断する方針。【梅山崇】

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