懐かしの味「川畑みかん」復活へ 鹿児島・南さつまの高校生が計画

サワーポメロに接いだ川畑みかんを点検する(左から)田頭さん、武田さん、吉田教諭、岩田晴紀さん=鹿児島県南さつま市加世田武田の加世田常潤高校農場で2023年6月20日午後0時26分、梅山崇撮影

 毎日新聞「くらしナビ」面の懐かしの食材がテーマの連載「もう一度食べたい」(2005~19年)でも取り上げられた「川畑みかん」。鹿児島県南さつま市加世田川畑原産とされ、昭和20~30年代には同県南薩地方のどこの民家でも見られたが、いつしかその姿は消えた。現在、地元の県立加世田常潤高校食農プロデュース科生9人が、校内の実習地に「川畑みかん園」を設け復活を目指している。

 ユズ系統の自然雑種とされ、淡黄色の果肉はジューシー。年末から年明けに収穫後、5月ごろまで貯蔵していると甘くなるという。宮崎名産の日向夏(ひゅうがなつ)に似るが、硬くてむきにくく、種も多い。こうした点が敬遠され姿を消したとみられる。

 加世田常潤高校による地元の伝統果実復活を目指す計画は、22、23年度の市の事業に選定され、ふるさと納税を活用した数十万円が贈られた。生徒らはこれらを原資に県内の農家から苗木約30本を購入。サワーポメロやウンシュウミカンの台木35本に接ぎ木もした。数年で初収穫が目標だ。

 計画に取り組むいずれも同校2年の武田悠さんは「私の地元である川畑地区のために貢献したい」、田頭雅さんは「近くのおばあちゃんの『食べたい』をかなえたい」。担当の吉田周作教諭(37)は「我が校にしかない名産品にしたい」と意気込む。【梅山崇】

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