週刊現代
20~30年後に大噴火する
迫りくる次の巨大地震「Xデー」の前触れなのだろうか。7月24日、鹿児島・桜島の噴火警戒レベルが最高の5(避難)に引き上げられた。これは’07年12月の噴火警戒レベルの運用開始以降、初めての最高段階だ。
噴煙を上げる桜島/Photo by GettyImages
40年近く桜島の観測を続けている京都大学防災研究所教授・火山活動研究センター長の井口正人氏はこう警鐘を鳴らす。
「今の桜島は108年前に発生し、58人の死者を出した『大正噴火』と同じ規模の噴火を引き起こすだけのエネルギーが溜まっている状態にあります。
私の観測によれば、桜島の北部にある姶良カルデラにマグマが溜まっており、今後20~30年のうちに大規模噴火が起こると考えられます」
1914年の大正噴火は午前10時から始まり、約8時間後に鹿児島湾でM7. 1の大地震が発生した。この動きは遠く離れた関東にも影響を及ぼす。
プレートの「歪み」が続いたら
「桜島の噴火による一連の活動の先に、令和の関東大震災が起こることはまず間違いない」
そう語るのは立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏。
Photo by GettyImages
「首都圏と九州は、関東から九州南部に広がるフィリピン海プレートの影響を受ける地域です。’16年以降、隣接する太平洋プレートの動きが盛んになっているのですが、この圧力を受けて、フィリピン海プレートの沈み込みが激しくなっている。
そこで発生する『歪み』こそ、相模湾や首都直下、南海トラフなどでの大地震の引き金になるのです。桜島の噴火は関東大震災の予兆だと警戒しなければいけません」
噴火の翌日、7月25日には富士山の麓、静岡県東部を震源とする地震が相次ぐといった不気味な兆候も見られる。噴火が指し示す地殻のストレスは、やがて別の破壊現象となって表れる。巨大地震からは逃げられない。
「週刊現代」2022年8月6日号より
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