森の中には私の生きがいがある…担い手不足に悩む1次産業、いきいき働く障害者の姿があった 南大隅町で進む「林福連携」

花の木農場のメンバーと一緒に作業する駿河木材の大竹野千里さん(右)=南大隅町根占横別府

 花の木農場のメンバーと一緒に作業する駿河木材の大竹野千里さん(右)=南大隅町根占横別府

〈関連〉南大隅町の位置を地図で確認する

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花の木農場のメンバーと一緒に作業する駿河木材の大竹野千里さん(右)=南大隅町根占横別府

 花の木農場のメンバーと一緒に作業する駿河木材の大竹野千里さん(右)=南大隅町根占横別府

 障害者が林業分野で働き、生きがいを持って社会参画する「林福連携」の取り組みが、鹿児島県南大隅町で進んでいる。知的障害者らが入所する花の木農場のメンバーが、地元の駿河木材に通い、汗を流す。担い手不足や高齢化が進む林業での働き手の確保や障害者の雇用拡大が期待される。
 「パチン、パチン」。3月28日午前、山あいの緑に囲まれた作業場では、花の木農場の2人がハサミを片手に、杉のコンテナ苗を作っていた。30センチほどの長さに切りそろえる単純作業だが、福留嘉三さん(49)は30本ずつビニールのひもで束ねる新しい仕事を覚え、周囲から褒められた。
 駿河木材では、入所者が就職するなど縁があり、2022年から林福連携を始めた。23年度は、12月から毎週のように来てもらい、多いときで週に2、3回、3~6時間働く。賃金も発生しており、福留さんは「作業は難しく疲れるが、その分、ご飯がおいしくなる」とやりがいを語る。
 これまで苗木作りは5人の社員が総出でしていたが、働き手が増えることで、社員が別の作業に集中できるようになったという。大竹野千里社長(46)は「作業を分解することで、それぞれの得意不得意が見えてきて、効率的な分業ができる。苗も作る量が増えた」とメリットを語る。その上で「福留さんはムードメーカーで楽しい。ここへ来ることが楽しみと言われることが何よりうれしい」と現場の励みとなっている。

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