沖縄本島を400キロ南下した先の楽園 日本の最南端「波照間島」にある 沖縄で一番キレイと噂の絶品ビーチ!

#262 Hateruma Jima波照間島(八重山諸島/沖縄県)

波照間港の桟橋から見たニシ浜。島一番の絶景ビーチです。

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 一般人が訪れることができる日本列島最南端の島、八重山諸島の波照間島。

 名前の由来は「果てのうるま」。“うるま”とは沖縄の言葉でサンゴを意味し、“果てにあるサンゴの島”という意味。心誘われる島名です。

日本最南端の碑は波照間島へ訪れたらのお約束。

 沖縄本島から約400キロ。ここまで南下すると、本州とは気候はもちろん、生物の性格さえ違うようです。

 アリのすばしっこさにはびっくり。焦っているかのようにせわしなく動き、油断していると地面から足へぐんぐん上ってきます。東京のアリがおっとりさんに思えてくるほど、がっついています。

 島は東西約6キロ、南北約3キロの横長の形をしています。集落のある中央に向かって4段ほどに分けて高くなり、最高地点で約60メートルの平坦な島です。

コンビニはなく、共同売店が3軒。12~15時はお昼休憩に入るので、お弁当は午前中に入手しないと、食べ損ねることに……。

 島には電車もバスもありません。移動手段は自転車、できれば電動自転車がちょうどいい感じ。平坦とはいえ、海岸線から集落へ戻るたびに落差60メートルとなると、かなりキツイ。

 しかも、北回帰線がすぐそばを通っているので、真夏の正午は影がほとんどできないほど、まっすぐに太陽光が差します。日差しもキツイです。

島の中央から海岸線へ下り坂になった地形。サトウキビ畑に挟まれた道がいたるところで。

 道の脇の畑には、ヤギたちが休んでいるのを見かけます。土管の中や木陰など、直射日光から避難しているヤギも。

こちらも、いたるところで見かけるヤギ。ヤギの瞳孔って横長だって、知っていました?

 宮古島からお嫁に来た島の人いわく、初めてこの風景を見た時、小屋に入れてあげなくてはヤギがかわいそう、と思ったとか。

 本州では“家畜を小屋で飼う”と聞くと、ぎゅうぎゅう詰めにしているに違いない、野飼いの方が動物たちも幸せと考えがちですが、日差しの強さを考えると、小屋の方が快適かもしれません。

島いちばんの絶景ビーチ、ニシ浜へ!

 波照間島では3泊を予定していたのですが、台風のために石垣島からの船が欠航。やむなく2泊に削られてしまいました。駆け足ぎみに島内探検です。

 まずは、島いちばんの絶景ビーチ、ニシ浜へ!

ニシ浜の入口。“ニシ”とは方言で“北”のこと。ニシ浜は北西に位置しています。

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 北西部にあるニシ浜は、世界最大の旅行口コミサイトで日本のナンバー1に選ばれたことがあり、「沖縄で一番キレイ」との呼び声も高いビーチです。

 ビーチの入口の高台に立つと、思わず歓声。アイスブルーの遠浅の海に空色、るり色、紺色、茄子紺色、いろんなブルーが折り重なっています。

いろんなブルーが交錯する海の向こうには西表島。

 水平線にはギザギザとした稜線の西表島、ダイバーの憧れのスポット「オガン」も見えます。

ほんのりピンク色に見える波打ち際。

 波打ち際の砂を見ると、サンゴに交じって星砂の素の有孔虫の殻が目立ちます。これが、水際がうっすらピンク色に見える原因でしょうか?

 ニシ浜は波照間島で唯一、遊泳可能なビーチ。透明度70メートルを超えるという水中は、まるでラムネの中を泳いでいる気分。真っ白な砂地が広がり、ヨスジフエダイの黄色が映えます。

 続いて、日本最南端の酒造所、波照間酒造所へ。こちらの唯一の銘柄「泡波」は幻の泡盛と呼ばれ、ミニボトルは入手できても、三合瓶以上のサイズはめったに見ません。

今年も泡波をゲットできず……。

 店の入口には、本日休業の張り紙。そしてミニボトル以外は「在庫なし」の文字。どうも今年は生産量が少なくて、島内での消費分をまかなうのに精いっぱいとのウワサも……。やむなく断念。

 夜には星空観測タワーへと思っていたら、老朽化から休館中。

 島を分断する断層を見に行っては、場所が見つからず……。と、ことごとく空振り。

猛スピードで繁茂する雑草との追いかけっこ! 波照間の無農薬農業

 そんな中、宿の人に教えてもらったのが、穀物農家の「とんちぇ農園」。フクギ並木が続く小道を自転車で走って、赤瓦屋根の民家へ。大きな声で「ごめんくださーい」。

 突然の訪問にもかかわらず、笑顔で迎えてくれたのは西里正善さんと恵美さんご夫妻。

もちきびやゴマを育てている、とんちぇ農園の西里さんご夫妻。

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 無農薬でもちきびやゴマ、アマランサスなど20種ほどの穀物や野菜を育てて、約20年になるといいます。

 波照間島での無農薬農法の何が大変って、除草剤を使わないゆえの日々の草刈り。猛スピードで繁茂する雑草との追いかけっこを繰り広げているそう。アリがあれほど元気いっぱいな島なのだから、雑草の勢いたるや……。

たわわに実ったタカキビ。生命力が豊か!

 もともとは理科の先生だった正善さんが農業を始めたきっかけは、鼻炎による体調不良から。そして「どうせなら一生、健康なものを食べていきたいじゃないですか。農薬漬けの作物を食べても、ね」と。

 とはいえゴマの場合は、手刈りでの収穫→乾燥→脱穀→水洗い→乾燥と、かなりの手間。そんな作業を効率よくしてくれるのが、正善さんの発明品ともいえる手作りの農耕具です。

機械をいじっていると、少年のような正善さん。ハードワークな中に楽しみを見つけているもよう。

 足踏みミシンを改造したふるい機、自転車のタイヤを活かした脱穀機など、「捨てれー」と恵美さんに言われたものも、何かに使えるかもと再活用。「こんなことして遊んでる」と、楽しそう。

波照間のお土産として人気の、雑穀。もちむぎ180グラム500円(島の売店にて)。

 そしてご夫妻の小気味よい愉快な会話からも、作物への愛情や二人仲良く丹精込めて育てている様子がうかがえます。

 次回の波照間での宿題は、断層の見学と泡波の購入。少しやり残したくらいが、再訪の理由にもなって、ちょうどいいのかもしれません。

星空観測タワーには行けなかったけれど、ハウス美波さんの星空撮影会で撮ってもらった一枚。波照間の星空を背景に記念写真! いい思い出!

吉田海岸

●アクセス 石垣空港から石垣港離島ターミナルへ車で約25~40分。そこから小型高速船なら約60~70分(西表島の大原経由の場合は約80分)、フェリーなら約90分
●おすすめステイ先 ハウス美波
http://minami85.sakura.ne.jp/

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