種牛の審査開始 若手兄弟そろって引き手に「互いの活躍が刺激」 農家支える兄と子牛育む弟 鹿児島・全国和牛能力共進会

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体形や発育状況について審査を受ける肉用牛=7日、霧島市牧園

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審査で出品牛の手綱を引く兄の落合裕介さん=7日、霧島市牧園

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 審査で出品牛の手綱を引く弟の落合新太郎さん=7日、霧島市牧園

 和牛日本一を目指す大舞台に若手兄弟が立った。第12回全国和牛能力共進会(全共)は鹿児島県霧島市で7日、種牛の部の審査が始まり、畜産の道に進んだ弟と、農家を支える市職員の兄が、それぞれ引き手を務めた。「日頃から刺激になっている」という2人は、互いの活躍を見守った。
 弟の落合新太郎さん(26)は霧島市の子牛生産農家。兄の裕介さん(28)は日置市職員だ。
 2人が畜産の道を志したのは、繁殖農家をしていた両親や祖父母の存在があったからだ。物心がつく前から、牛を世話する様子を見たり競りについていった。牛は身近な存在だった。
 ともに県立農業大学校に進んだが、卒業後、新太郎さんは両親とともに子牛生産を手掛ける道を選んだ。一方の裕介さんは、「農家をサポートする仕事がしたい」と、市役所に入り農林水産課で畜産を担当するようになった。
 今大会で先陣を切ったのは裕介さん。3区に出品されたミヤボク宮下牧場(日置市)の「ゆうこ」の手綱を引いた。「農家から大事な牛を託してもらった責任を果たす」と意気込む。
 新太郎さんとは、牛の管理方法について日頃から情報交換を欠かさない。「農家から意見を求められることもある。実際に経営に携わる弟の話は参考になる」と信頼を置く。
 新太郎さんは、鹿児島の出品者の中では最年少。3頭1組で出品する4区に自身が育てる「さき」と挑んだ。就農直後からともに歩んだ愛牛だ。子を産んでも若い牛と変わらないほど美しい体形を維持し、出品条件にも合っていることが分かった。「大舞台に挑戦できるなら」と、出品を決め、自ら引き手として審査に立つことを決めた。
 応援には父の弘幸さん(54)も駆けつけた。「会場の雰囲気に圧倒された。2人ともしっかりと牛に指示をできていた」と胸をなで下ろした。
 審査前には激励の言葉を交わしたという2人。審査後、裕介さんは「(一緒に出られて)最高だった。まだ9日の等級決定が残っている。最後まで頑張りたい」と話した。

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