米軍は「良き隣人」? 鹿屋無人機展開準備が佳境 米兵ら続々到着…でも自治体は人数さえ把握できず

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無人機本体を格納したとみられるコンテナをC17輸送機から運び出す米軍関係者=9日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地

海上自衛隊鹿屋航空基地に連日飛来する大型の米軍C17輸送機=13日午後8時20分ごろ、鹿屋市野里町

 海上自衛隊鹿屋航空基地に連日飛来する大型の米軍C17輸送機=13日午後8時20分ごろ、鹿屋市野里町

 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)への米空軍無人偵察機MQ9の一時展開計画は10月下旬の運用開始に向け、準備作業が佳境を迎えている。基地には輸送機が連日飛来し、米軍関係者が続々と降り立つ。防衛省は「良き隣人」と理解を求めるが、自治体は人数さえ把握できない。実態が見えないまま県内初の米軍駐留が事実上始まっている。
 「C17が鹿屋に来るとは」。13日、基地近くの展望台で輸送機を見に来た男性は驚きの声を上げた。大型のC17(長さ53メートル、幅51メートル)はアフガニスタンの退避作戦などにも使われた米空軍の主力輸送機だ。
 準備作業は、展開を担う本隊第1陣が入った9月20日以降加速している。輸送機は10月だけで10機を超え、C17は3日連続で飛来した。C17の所属は「在日米軍以外」という。
 基地そばのフェンスからは立方体や球体の大型コンテナを積み込む姿が確認され、約40人が到着した日もあった。防衛省は人数や搬入した機材について「米軍の運用に関わり、答えられない」と繰り返す。弾薬やミサイルを積み込んでいる可能性についても「回答する立場にない」という。飛来を事後連絡する例も増え、自治体は早期の連絡を要請している。
 軍のベールに包まれるのは基地内にとどまらない。米軍関係者は日米地位協定で日本の在留管理制度の対象外となり、住民登録は不要。運用開始となっても、市や県が把握する人数は防衛省からの連絡頼みだ。
 塩田康一知事は14日の定例会見で、人数について飛来数などから「大体の感じで把握している」とした上で、交通研修などの実施は確認できたと述べた。
 鹿屋市内では米兵らの姿が日常的になっている。7日夜は、部隊司令官に今月着任したアレクサンダー・ケリー中佐ら5人が飲食店でジンジャーエールを飲んで談笑していた。
 1人に声をかけると、1カ月の禁酒令が出ていると明かし、「準備中は忙しくて飲めない」。多くを語らず店を後にした。

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