米軍空中給油機訓練は「苦渋の決断」で受け入れ…では、無人偵察機は? 海自鹿屋基地の地元・中西市長、11日に態度表明へ

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海上自衛隊鹿屋航空基地への米軍無人偵察機の一時展開計画について、容認決議案の提案理由を聞く鹿屋市議ら=6月30日、同議会

 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)への米空軍無人偵察機MQ9の一時展開計画について、鹿屋市の中西茂市長は11日、市議会全員協議会で自らの態度を表明する。5月下旬に計画を示した防衛省が軍事上の必要性を理由に「7月以降開始」と前のめりな姿勢を見せる中、中西市長は異例とも言える短期での決断に踏み切る。
 「議会でどうにかならないか」。関係者によると、市幹部が5月、無人機計画の受け入れに関する相談を特定の市議に持ち掛けた。6月初旬に開かれた市防衛議員連盟の会合では、複数から「市長を助けないといけない」「議会が決議書を出さなければ」などの発言があったという。
 市議会は同30日、計画を容認する決議を賛成多数で可決した。議長を除く25人のうち賛成17、反対5、無投票(棄権)3。素案を提案議員らがまとめたのは、同3~5日に防衛省が開いた住民説明会の終了後間もなくだった。同省のスケジュールを念頭に6月定例会の会期中に決着させたい意図があったとみられる。
 同省は計画を「7月以降1年間、8機を配備し、米兵ら150~200人程度が駐留する」と説明。ロシアのウクライナ侵攻を引き合いに中国による危機を強調し、早急な展開の必要性を説く。市は正式に内容を聞いた5月23日以降、運用などで同省に質問や要望をしているが、不明瞭な点も少なくない。
 米軍の鹿屋基地使用を巡っては、2005年に米軍普天間飛行場(沖縄県)のKC130空中給油機の鹿屋移駐案が浮上。反対運動などを経て、中西市長が15年に「苦渋の決断」として受け入れた。
 市と同省側は「訓練拡大や米軍基地化は考えていない」とする協定を文書で締結したが、今年に入り、協定は「給油機に限ったもの」と両者で確認。ほかの米軍の活動に対し事実上無効となった。
 無人機計画でも両者は協定の締結に前向きだが、受け入れを決めた場合にどう実効性を担保するか課題が残る。中西市長がどのような理由を挙げて計画への態度を示すのか注目される。

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2022/07/10 09:03

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