自己破滅へのサイン? 120年周期で開花する竹、種つけず枯れる

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ハチクの花=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供写真・図版
ハチクの花=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供
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ハチクの花=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供
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ハチクの竹林を見上げたところ。左側は花が咲かずに葉をうっそうと蓄えていて、空が見えにくい。右側は開花後まもなくに枯れて葉が落ち、空がよく見える=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供
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ハチクが開花したエリアでは、枯れて葉が落ちたため光が地面に届くようになり、雑草などが繁茂した=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供
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開花中のハチクの竹林=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供
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ハチクの花が咲かなかったエリアでは、タケノコが出て大きく育ったが、1年後には花を咲かせ、枯れてしまった=広島県東広島市、山田俊弘・広島大教授提供

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 開花は自己破滅へのサインなのか――。国内で育つ代表的な竹の一つ、ハチク(淡竹)。120年周期で一斉に開花し、枯れてしまうと言い伝えられているが、あまりにも長い周期のため、詳しい生態はわかっていない。広島大の山田俊弘教授(保全生態学)らの研究チームが、2020年にいち早く開花したハチクの竹林を3年間を追跡したところ……。

 ハチクは、モウソウチク(孟宗竹)、マダケ(真竹)とともに、日本の主要な竹の一つ。タケノコは食べられ、竹製品の材料にも使われる。

 中国の原産で、奈良時代に伝わったと言われる。花を咲かさない間は、タケノコをつくるなど、地下茎で周囲に広がって増えていくが、120年に1度、初夏に開花すると一斉に枯れていくとされてきた。

 研究チームは20年に広島県東広島市で開花が始まったハチクの竹林を3年間観察し、記録をとった。

 その結果、竹の茎「稈(かん)」が太いほど花を咲かせ、調査区域のハチク334本の83%が20年と22年の初夏に開花したが、まもなく枯れた。残りの2割近くの開花しなかったハチクも22年10月までに枯れた。

 一方、開花したが種子は全くできなかった。期間中に見つかった19個のタケノコも1年後には開花して枯れ、タケノコ自体がみられなくなった。背丈が小さい竹が415本出現したが、それらも短命で、竹林再生の兆しは見つからなかったという。

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