走る投票所は「歩いて1分」 高齢者ら便利さ歓迎 過疎地で導入広がる事情とは…「制限」に課題も

マイクロバスの補助席に置かれた投票箱に票を投じる有権者=4日、薩摩川内市東郷町斧渕

 マイクロバスの補助席に置かれた投票箱に票を投じる有権者=4日、薩摩川内市東郷町斧渕

 9日投開票の鹿児島県議選で、車に投票箱を載せて公民館などを巡回する「移動期日前投票所」を薩摩川内、曽於、伊佐の3市が設置している。県内は2019年参院選で導入が始まり、県議選では初めて。交通弱者対策として好評な半面、停車時間が限られるなど課題もある。
 薩摩川内市東郷町斧渕の公民館駐車場に4日午後、公用車のマイクロバスが止まった。1時間の停車時間内に6人が訪れ、1人ずつバスに乗車。補助席に置かれた投票箱にそれぞれ票を投じた。川畑由美子さん(76)は「家から歩いて1分」と便利さを喜んだ。
 市は人口減や選挙事務の効率化を理由に、20年知事選で選挙当日の投票所を92カ所から67カ所に集約した。その代替として移動期日前投票所を設けた。県議選では3~6日、計17カ所を回る予定だ。
 市選挙管理委員会の上野卓也事務局長は「足腰の悪い高齢者など交通弱者への対応と業務効率化が両立できる」と利点を説明する。
 曽於市も過疎地の投票所を集約した21年市長選から取り入れた。市選管の森岡雄三書記長は「免許返納した人にも有効」と利用を呼びかける。無投票となった阿久根、南さつま、南九州の3市も設置を予定していた。
 便利さが売りだが、薩摩川内市を巡回する市職員は「1人ずつしかバスに入れず、待ち時間が長いという苦情もある」と課題を挙げる。「停車は1カ所当たり1~2時間ほどで制限がある。車内で投票してもらう以上、どうしようもない部分もある」と話した。

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