鹿屋でハンセン病市民学会の交流集会 差別解消テーマに

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ハンセン病市民学会の交流集会(全体会)では今後の課題について意見を交わした=鹿児島県鹿屋市北田町

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星塚敬愛園を見学するハンセン病市民学会の参加者ら=鹿児島県鹿屋市星塚町

 差別の解消などハンセン病問題について考えるハンセン病市民学会(事務局・大阪市)の第17回全国交流集会が20、21の両日、鹿児島県鹿屋市であった。会員や訴訟の支援者、療養所の関係者らが全国から集い、直面する課題について意見を交わした。

 総会を兼ねて年に1度開かれていて、国立療養所・星塚敬愛園がある鹿屋市では3回目の開催。20日は市文化会館で約300人が参加した全体会があり、敬愛園自治会長の山口文夫さんが「入所者68人は高齢化し、毎日がいのち、人権との闘い」とあいさつした。

 今回の統一テーマは「差別の連鎖を断つ」。国立療養所・邑久(おく)光明園(岡山県)の青木美憲園長はシンポジウムで、らい予防法が廃止された1996年からの26年間で療養所で亡くなった人の遺骨引き取り率はまったく改善されていないとし、「差別解消の実効性のある啓発活動がされてこなかったということ」と指摘した。さらに退所者が療養所に再入所するケースも相次いでいると訴え、退所者への相談事業を充実させるべきだと提言した。

 偏見や差別解消のため国が設けた「施策検討会」座長の内田博文・市民学会共同代表は、ハンセン病問題基本法の見直しをテーマに講演。基本法には「偏見差別を解消するための国や地方公共団体の責務が明示されていない」と問題点を挙げ、差別解消の施策を市町村などに義務づける内容を盛り込む改正が必要と述べた。

 全体会の前には、数十人が参加して敬愛園の見学会も開かれた。(仙崎信一)

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