708年創建、大隅・投谷八幡宮が全焼 県文化財、全国でも珍しい下り宮 地域住民のよりどころ…「これからどうすれば」

2022/06/26 11:30

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本殿などが全焼した投谷八幡宮=25日午前10時25分、曽於市大隅町大谷

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2017年3月、投谷八幡宮で行われた「お田植え祭」の様子

 25日午前6時40分ごろ、鹿児島県曽於市大隅町大谷の投谷(なげたに)八幡宮(県指定文化財)=柏木勝弘宮司(55)管理=から出火、いずれも木造平屋の拝殿と本殿計約200平方メートル、隣接する末社約30平方メートルを全焼した。
 曽於署などによると、火は約1時間半後に消し止められ、拝殿の骨組みは辛うじて残っているが、拝殿の後ろにある本殿は燃え落ちた。日ごろは無人で、近くの牛舎の作業に来た住民が煙が立ちのぼっているのに気付き、119番した。
 同宮は708年の創建とされ、大隅正八幡(鹿児島神宮)の別宮。本殿と末社にある四所宮、地主社などが2003年、県文化財に指定された。拝殿は11年に建て替えられた。
 「お田植え祭」など多くの伝統行事が行われ、地域住民のよりどころになっている。毎年10月にある例祭の王子神幸は、岩川八幡神社(曽於市大隅町岩川)の弥五郎どんの浜下りの原形と考えられている。県道志柄宮ケ原福山線から参道を下ったところにあり、全国でも珍しい下り宮として知られる。
 現場に駆け付けた総代会長の中迫琢美さん(78)は「今月末に参道の草払いを予定し、7月には茅(ちの)輪くぐりも行うつもりだった。これからどうすればいいのか」とショックを隠しきれない様子だった。

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