2022/01/30 21:04 ]
鮮やかに色づいた実をつける、100年を超えるミカンの木=南さつま市加世田津貫
南さつま市加世田津貫の果樹生産者石原哲郎さん(68)の農園に、温州ミカンの栽培が地元で始まった約100年前の4本の木が残っている。50~60年が寿命とされる中、現役で活躍中。今シーズンも豊かに実った。
植えたのは祖父の故岩太郎さん。1916年ごろ、地元で農業教員をしており教育の一環で育てていた。この学習園の成績が優秀で栽培は地域に広がり、「津貫ミカン」の産地を育てた一人とされる。
津貫では早生わせ、極早生と品種改良が進む一方、接ぎ木で無理を強いるせいか10年ほどで枯れてしまい、植え替えも進んだ。
一方、岩太郎さんの4本は樹勢が衰えなかった。最盛時は1本で約400キロ収穫した。味に深みがある「岩太郎ミカン」として人気だ。哲郎さんは「他の木と同じような手入れしかしていない。よほど土地に適していたようだ」と祖父の先見に驚く。
収量は往時の半分ほどに減ったものの、今季も鮮やかに色づいている。4代目と期待する三男と農園を守る哲郎さんは「津貫ミカンの歴史とともにある木。大切にするので、できる限り元気で頑張ってほしい」と願う。
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