【幻と呼ばれる日本酒9選】幻の日本酒を手にれるためには…

【幻と呼ばれる日本酒9選】幻の日本酒を手にれるためには…

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「幻の酒」と聞くと、日本酒についてよく知らない人でも飲んでみたくなるもの。なぜ、「幻」と称されるようになったのか? 幻の酒の最新事情を紹介します。

「幻の酒」の定義とは?

「幻の酒」の定義とは?

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「幻の酒」といわれる日本酒に特別な定義はありません。では、どんな条件がそろったら「幻の酒」となるのでしょう? これまでの傾向をみると、次のようなことが関係していると考えられます。
■生産数が極端に少なく、かなり入手しにくい
■地元だけで流通している
■品評会で多数の賞を獲得している
■メディアで紹介される回数が多い
生産数が少ない場合、注目度が高まるほど需要と供給のバランスが悪くなり、なかなか手に入らないプレミアな日本酒となります。
また、全国には流通しておらず、地元を中心に販売されている日本酒も、「幻の酒」といわれるケースが多いようです。
そのほか、品評会で数々の賞を獲得したり、メディアへの登場回数が増えたりすると、知名度が上がって日本酒ファン以外の人でも興味を持ち、需要が増えます。
ここ10年くらいで「幻の酒」と呼ばれ話題になった日本酒「獺祭(だっさい)」も、メディアで「首相が海外の大統領にプレゼントした」「一度は飲みたいお酒」などと報道されたりしたこともあって需要が急増して品薄になり、一部業者が定価よりも高い金額で販売したこともありました。この状況を嘆かわしく思った蔵元は生産体制を見直して出荷本数を増やしたり、全国紙に「プレミアム価格では買わずに定価で買ってください」という趣旨の全面広告を出稿したというエピソードもあります。

「幻の酒」と呼ばれる日本酒9選

「幻の酒」と呼ばれる日本酒9選

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「幻の酒」として知られる日本酒のなかでも、代表的な銘柄をいくつか紹介します。

【黒龍(こくりゅう)】

福井県の黒龍酒造が手掛ける銘柄。もともと同地を代表する老舗の酒蔵でしたが、全国に先駆けて「大吟醸」を商品化させたことで、広く知られる存在になりました。
現在は吟醸系の銘柄が多く、大半は精米歩合50%などと磨かれたものばかり。とくに純米大吟醸の「石田屋」などの高級銘柄は手に入りにくく「憧れの酒」といわれています。
「黒龍(こくりゅう)」200年を超える歴史ある酒蔵【福井の日本酒】

【黒龍 しずく(こくりゅうしずく)】

黒龍の代表作である「しずく」は、大吟醸のなかでもとくにできのよいものだけを、ひとしずくずつ集めて瓶詰めしたもの。果物のように甘くフルーティな香りと、さらりとしたのど越しは、他の追随を許さない別格の味わいです。
年に2回、6月と9月だけの限定販売のため、購入には抽選になることもある、プレミアムな銘柄です。
「黒龍しずく」名酒蔵が生んだ最高峰の大吟醸【福井の日本酒】

【獺祭(だっさい)】

「幻の酒」ブームを作ったといっていいほど、誰もが知る人気銘柄。日本酒の概念を変えたフルーティな味と香りは、その後の日本酒の新しい流れを生み出しました。
シリーズすべてが純米大吟醸ですが、値段が手ごろなことも人気に拍車をかけました。現在では店頭や通信販売でも購入できるようになり、「幻」から「定番」の酒に変わりつつあります。
「獺祭(だっさい)」日本酒人気の火つけ役《きき酒師監修》
2021年より稼働予定、現在NYに酒蔵を建設中 〜「獺祭」蔵元・旭酒造の新たな挑戦〜

【而今(じこん)】

「而今」は、伝統と挑戦の融合によって生まれた「次世代の酒」として注目される日本酒。6代目の蔵元、大西唯克氏は昔ながらの伝統手法に執着せず、データと理論による酒造りをめざして生み出したのが「而今」です。
その華やかで果実のようなジューシーさは、まさに新しい時代の日本酒。品評会で賞を総なめにしたことで話題となり、入手困難な酒になっています。
「而今(じこん)」木屋正酒造の今を生きる酒 《SAKE DIPLOMA監修》

【飛露喜 (ひろき)】

会津地方西部の会津坂下(ばんげ)町にある廣木酒造本店が生んだ日本酒。「飛露喜」は搾ったままの原酒を、ろ過や熱処理などの加工を一切せずに出荷する「無ろ過生原酒」の先駆けです。
その鮮烈な飲み口、透明感のある味わいで瞬く間に日本酒ファンの支持を獲得し、会津のお酒を一躍全国区に押し上げました。
幻の日本酒【飛露喜(ひろき)】無ろ過生原酒という新しい潮流

【寫樂(しゃらく)】

ここ数年で人気が急上昇した銘柄です。同じく会津の有名銘柄「飛露喜」の蔵元、廣木健司氏から大きな影響を受けていることもあり、果実香豊かでほのかな甘みがあるのが特徴。「サケコンペティション」で優勝するなど評価が高まっています。
造り手が小規模な蔵のため生産量が限られ、正規取扱店のみで販売される限定流通になっています。
「寫樂(しゃらく)」は“幻の酒”と呼ばれる、会津若松を代表する日本酒

【鍋島(なべしま)】

「鍋島」が誕生した当初は売り上げが思うように伸びなかったものの、2002年頃から数々の賞を総なめに。その背景には、同時期に杜氏となった飯盛直喜氏の努力と情熱があったのだとか。
飯盛氏は、自然で優しく、五感を刺激する酒造りにこだわり、「地元発の、地元に愛される酒」がモットー。生産量を拡大せず、地元に根づいた蔵元であることを大切にしています。
「鍋島(なべしま)」世界が認めた佐賀の酒

【作(ざく)】

2016年の伊勢志摩サミットで地元の酒として提供され知名度が上がりました。良質な水が多いことから、かつては多くの酒蔵があった鈴鹿市に唯一残る清水清三郎商店の代表的な銘柄です。
精米歩合や酵母などによって酒種は異なりますが、共通しているのはスッキリとした味わい。その名前からアニメ「ガンダム」のファンからも支持されています。
幻の日本酒【作(ざく)】出会いを楽しむ酒

【七田(しちだ)】

佐賀県の天山酒造が作る「七田」。精米歩合が高いほどおいしいといわれるなか、「磨き過ぎない方が米の旨味が引き出せる」と、7割5分という低い精米歩合にこだわりました。雑味は一切なく、きれいなコクと酸味が感じられます。
近年、フランスの日本酒コンクールで最高賞を獲得したことから注目が高まり、店頭に並ぶ前に売り切れるほどの人気となっています。
【七田】幻の日本酒、七田(しちだ)。米本来の旨味を感じる酒

入手困難だからこそ買いたい! 「幻の酒」を手に入れるコツとは?

入手困難だからこそ買いたい! 「幻の酒」を手に入れるコツとは?

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入手困難とされる「幻の酒」を入手するには、どんな方法があるでしょうか。
近所の酒屋さんなどで手に入らない場合には、特約店を探すという方法があります。特約店とは蔵元と信頼関係を構築し、蔵元から直接お酒を仕入れることができる店舗のことで、蔵元のWebサイトにその一覧が掲載されていることもあります。蔵元のサイトに掲載がない時には、蔵元が所在する県の酒造組合などのサイトをチェックしてみましょう。
特約店に行っても、店頭に並んでいない場合、「幻の酒だけください」と言っても、数少ない貴重なお酒なので、譲ってくれない場合がほとんどです。普段から贔屓にして、他の商品も買ってくれる常連さん、お得意さんに優先的に販売して差し上げたいのが人情。普段からのお付き合いが大切ですね。
また、各地にある物産館などでも、まれに「幻の酒」に出会えることがあるので、近くに立ち寄った際に足を運んでみてはいかがでしょう。
そして、一番簡単なのが、ネットなどの通信販売です。限定や少数入荷のお酒も扱っている店舗なら、購入できる確率は高くなるかもです。
「幻の酒」といわれるのには理由があります。それは一度口にすればきっとわかるはず。まずは自分の舌で確かめてみてください。

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