都市部で増えてる電動キックボード、各地で人身事故も 免許不要になれば鹿児島でも増えそう…「新ルール守って」

ホテルで電動キックボードを貸し出している湯田誠さん=鹿児島市大黒町

 ホテルで電動キックボードを貸し出している湯田誠さん=鹿児島市大黒町

 改正道交法の施行で7月にも電動キックボードが運転免許なしで走行できるようになる。鹿児島県内で普及はしていないが、規制緩和で利用者が増えることが予想される。新ルールの周知とともに、事故防止の啓発が求められそうだ。
 電動キックボードは1人で立ったまま走る電動モーター付きの乗り物。シェアリングサービスが広がる都市部で利用が増えている。道交法では、ミニバイクと同じ原動機付自転車に分類され、運転免許やヘルメット着用が義務付けられている。
 改正道交法は最高速度が時速20キロ以下の電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」と分類。16歳以上は運転免許がいらず、ヘルメットは努力義務となる。原則車道を走行するが、最高速度6キロ以下なら歩道も通行可能だ。
 県内の量販店などによると、取り扱う店舗は限られ、ネット購入が主流。街で見かけることは少ないが、一部事業者がシェアリングサービスを始めている。
 鹿児島市のホテル「グランドベース鹿児島天文館」は2022年10月、観光の回遊性を高めようと3台導入した。21歳以上の宿泊者に貸し出し、10人前後が利用した。オーナーの湯田誠さん(48)は「自転車とバイクの中間のような乗り物で、近場の移動に便利と若者に好評だが、道交法による決まり事が多い」と話す。規制緩和によって利用者は増えるとみる。
 ただ、鹿児島市内は道幅が狭く、坂道や段差も多いことを課題に挙げる。専用の停車スポットや充電設備などを備える都市部と比べ、インフラ整備も進んでいないため、定着のハードルは高いと指摘。「何より新ルールを守って走れるかどうか、利用者のモラルが一番重要」と強調する。
 県警によると、21年~23年1月末、ナンバープレート未装着とヘルメット未着用で3件を指導警告した。道交法違反容疑などの摘発はなく、事故も確認していない。一方、警察庁の調査では21年9月~22年11月、1639件(暫定値)を摘発。人身事故は20年1月~22年11月に14都府県であり、1人が死亡、70人が負傷した。
 県警は法改正で利用者が増えるとみて、街頭活動などでルールの周知に努める方針だ。交通指導課の鮫島勝志理事官は「身近で手軽な乗り物だが、大きな事故を引き起こす危険性があることを自覚し、安全運転を心がけてほしい」と呼びかけている。

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