かつお節の最大産地が悲鳴 世界的な不漁に缶詰需要も増加…冷凍カツオ「2倍の高値が1年以上続く異常状態」

高値が続く冷凍カツオの水揚げ=枕崎市の枕崎漁港

 高値が続く冷凍カツオの水揚げ=枕崎市の枕崎漁港

 かつお節の原料となる冷凍カツオの高値が昨年から続いている。世界的な漁業不振で国際市場をリードするタイ・バンコクの相場が高い上に円安が拍車をかけた。国内トップの生産量を誇る鹿児島県の枕崎、山川港では1キロ当たり290円と高騰前の2倍近い値段が付く日もあり、製造業者は苦慮している。
 枕崎漁港の2022年の冷凍カツオの平均卸値は1キロ当たり222円と21年の159円から4割近く上がった。23年は5月末までで259円とさらに上がっていて落ち着く見通しがない。枕崎市漁協の担当者は「200円以上が1年も続くのは異常だ」と話す。
 指宿市の山川町漁協でも22年の1月から高騰が始まったという。担当者は「30年前は120円台が普通だった。今では200円後半が当たり前になっている」と驚く。
 同漁協によると、世界的な漁業不振や海外でのツナ缶需要の高まりによるバンコク市場の価格上昇が主な要因。価格差が大きいと国内漁船がバンコクに流れるため、国内市場もつられて上がった。
 一般に、原料の冷凍カツオの重さに対し、出来上がる荒節の重さは約5分の1。原料の単価が100円上がると、荒節の単価を500円上げないと製造業者は採算がとれない。
 かつお節の製造は1カ月から半年かかるため、価格転嫁したころには、また仕入れ値が上がっている状況。段階的に値上げしてもなかなか追いつかない。
 枕崎市内のかつお節業者は「従業員に仕事を与え、工場を動かすため、高くても買い控えできない。人件費や光熱費も上がって苦しい経営が続いている」と窮状を訴える。
 かつお節の値上がりに飲食店も悩む。同市内の飲食店では、かつお節(本枯れ節)の仕入れ値が1キロ当たり千円上がったところもある。「価格高騰がいつまで続くのか見通せない。普段は1、2カ月ごとに仕入れるが、半年分の10キロを買いだめした」と話した。

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