さつま町の弾薬庫構想「大規模な拠点を視野」 専門家が指摘、九州南部は空白地帯

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海上自衛隊鹿屋航空基地の弾薬庫とみられる一画。盛り土やコンクリートで覆われている=2022年9月、鹿屋市

 海上自衛隊鹿屋航空基地の弾薬庫とみられる一画。盛り土やコンクリートで覆われている=2022年9月、鹿屋市

 防衛省が鹿児島県さつま町で適地調査に入る弾薬庫を巡っては、九州南部は特に拠点が少ない「空白地帯」とされる。専門家は「大規模な拠点を視野に入れた調査となる。地元との合意形成が欠かせない」と指摘する。
 防衛省によると、弾薬庫は小規模施設を含むと全国の自衛隊駐屯地・基地にあるが、主要なものは約40カ所。冷戦の名残で北海道周辺に偏り、九州も朝鮮半島をにらんだ北部が中心だ。
 県内の要所は海自鹿屋航空基地(鹿屋市)と、増設が続く陸自瀬戸内分屯地(瀬戸内町)。「庫」と言っても爆発に耐えられるよう、通常のトンネルに比べ倍以上の厚みを持つコンクリートなどで覆われる。
 瀬戸内分屯地の場合、弾薬庫の調査などに入った18年度に約9億円を計上。その後、山の側面に各約250メートルのトンネルを掘り、さらに内部に直方体のコンクリ壁で覆った計5棟を整備している。広さは隊舎などがある区域よりも1回り大きい。来年度以降、さらに3棟の増設に着手する。
 自衛艦隊司令官を務めた元海将の香田洋二氏は、さつま町の調査について「人里からある程度離れた山林エリアがあり、川内の陸自部隊、港湾も近い。拠点を造る合理性は高い」とみる。
 その上で、運搬ルートの形成や環境保全、有事の際には道路を優先使用するなど地域との関わりが重要と言及。「10億円の調査なら、相当な精査をする。全ては難しくとも一定の構想など示せる部分はある。税金を使う以上、正々堂々と説明を重ねるべきだ」と語った。

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